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新・農業経営者ルポ

複合経営とブランド豚に込めたプライド


バイオベッドは、そのまま堆肥小屋に移し、約1年熟成させる。それを堆肥として圃場に還元している。暖房費がかからないうえ、肥料代が安く済むので効率的だ。
「もちろん経費の削減にもなりますが、バイオベッドは何より豚のためです。コンクリートの床やマットの上より、ふかふかのベッドのほうが、動物にはストレスをかけないと思います。病気することもなく、ワクチンを打つことは、ほぼありません。結果、ワクチン代の削減にもなります」
JAめまんべつの伊藤氏によると、後藤農場の複合経営は、地域のモデルケースと言えるのだという。種子の産地としての面からも、地域のなかで畜産の有機物をつくるのが理想的だ。とくに最近は、種子の圃場を土壌病害から守るために、町外から堆肥などの有機物を持ち込みにくいからだ。しかし、人手不足のうえ、365日休むことができない畜産はあまり広まらず、現在、酪農家が11戸、養豚は後藤農場を含めて3戸にとどまっている。
「全国的には複合経営は珍しいかもしれませんが、私は、これが普通だと思ってやってきました」
後藤にしてみれば、古くから続いていた農業の形だ。しかし、いまだからこそ、複合経営が、新しいものとして目に映る。

町のブランド「さくら豚」は種豚農家のプライド

もうひとつ、後藤の考えで始めたのが「さくら豚」の事業である。
養豚農家が減っていくなか、種豚の出荷先は減っていく一方だ。また、種子も規模を広げることが難しい。現在、圃場面積は全部で約20?ha。地域のなかでは平均的だが、北海道のなかでは広いとは言えない。小麦の原種や採種の栽培は、苦労が多いものの収益が高いこともあって、後継者不足という言葉とは無縁の土地柄だ。そのため、他の地域のように農業を続けている人のところに、土地が集まるということはない。
限られた圃場、限られた豚舎スペース、家族で飼うことができる限られた頭数で、どう所得を増やすか。
後藤は、ある答えを持っていた。無理に規模を拡大することなく、家族の労働力で、いまある環境や設備を有効活用し、最大限の所得を得るということだ。それは、効率の良い複合経営であり、常時頭数200頭以下、年間出荷頭数300頭以下(2017年273頭)という豚の飼い方にも表われている。
「種豚の販売頭数は少なくなっているので、一般的な豚肉の生産数を増やす方法もあるでしょう。でも、少ないからと言って、いまの形をやめたら、果たして、自分のこだわりと言えるのか。今ある武器を最大限に利用したほうがいいと思っています」

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