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特集

日本の農業に欠かせない3つの発想

「水稲もつくれる畑」が未来を引き寄せる

農業改革、とりわけ水稲を神棚にすえたシステムからの脱却が必要なことを、本誌は繰り返し提言してきた。その改革を進めないかぎり、農業・農村は衰退を続けてしまう。いまこそ「改革の発想法」自体を考えるべきではないか。そこで本特集では「日本農業に欠けている3つの発想」という視点から語っていきたい。
2013年5月号で本誌創刊20周年記念号として「水田農業イノベーションと農村経営者」という特集を組んだ。年来の主張である水田農業への畑作機械体系導入による技術革新の必要性と、仮に水稲生産の低コスト化が進んだとしても、やがて生じるコメの供給過剰による市況低迷を見越して、マーケットの拡大が期待できる子実トウモロコシ生産の可能性を指摘した。
同時に、個別の農場における「農業経営」という課題を超えて、農村の経営を担う「農村経営者」の登場を期待した。そして、政策に誘導・保護される官製農業から目線の揃う異業種との連携(農工連携)への転換を主張した。
それから5年、今年、本誌は創刊25周年を迎えたわけであるが、主張してきた子実トウモロコシ生産は農業政策の中に取り込まれるようになった。
とはいうものの、飼料米政策による主食用米隔離による官主導のコメ市況高値維持政策は、さらに「輸出用米」という経済の原則を無視した新たなコメ隔離の手段まで行なわれている。市場原理を無視した水田政策によりコメ市況の高騰が続いているが、すでに先物市場を見ると今年の出来秋以降の市況低迷が始まっている。
高価格でコメが売れることに少なからざる農業経営者は喜んでいるわけであるが、それは水田農業の崩壊を招くものであり、本誌の年来の主張の正しさが証明されることになるだろう。
今月号においては、そもそもの官主導から農工連携による水田農業、地域農業の可能性を故・松尾雅彦氏が提唱したスマート・テロワールの実現の課題とともに語り、同時に我が国が欧米諸国において大学がその機能を果たしているエクステンションセンター(普及機関)が農水省系列の機関となっていることなど、日本農業政策の問題点も合わせて指摘しつつ水田農業改革を語りたい。

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