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今月の数字

3,653億円(2017年度のふるさと納税の寄付総額)


2007年当時の第1回目のふるさと納税研究会では、「ふるさと納税は地方自治体が元気を出すためのもの。ふるさと納税が地域間の財政力格差の調整の切り札になるとは思っていないし、そういう規模にするべきものでもない」という意見が複数あった。開始当初は年間100億~150億円で推移していたが、2014年度に388億円まで増え、2015年度は1,653億円と前年度の4.3倍に急増した。その大きな理由は、寄付先が5カ所までなら簡単な手続きだけで確定申告をしなくてもワンストップで税金の控除が受けられるようになったことと、個人住民税の税金控除の上限額が2倍に引き上げられたことによる。ふるさと納税の寄付総額の3割が返礼品だと考えると約1,096億円の産直市場が創出されたことになる。直売所(約9,000億円)や道の駅(約2,100億円)と比べても存在感を増し、東京都内に出店している地方のアンテナショップ(約100億円)をはるかに上回るなど、地方から見れば魅力的な販路が出現した。ふるさと納税の返礼品は法律事項ではなく、あくまで自治体の感謝の意の表れであるとはいえ、返礼品という仕組みを作ったことが、「寄付行為」のこのような広がりにつながっている。
しかし、個人住民税の上限額については評価が分かれるところだ。制度検討時から「個人住民税の性格を踏まえれば住所地の個人住民税額が大きく減少するような仕組みをとることは適当ではない」「一方で上限額が低ければ制度の趣旨が生かされない」という意見があり、ふるさと納税研究会では結論を1割程度と最終報告書に掲載した。ふるさと納税により、東京都23特別区の2018年度(課税年度)の減収額は合計で312億円に達する見込みであり、昨年に比べ減収は80億円膨らむという。港区では31億円の減収となり、税収の9割以上を占める住民税(特別区民税)704億円の区税261億円(2016年度)の4%がふるさと納税により流出している。東京23区自治体同士の不均衡は地方交付税により調整されていること、ワンストップ制度では国が負担すべき所得税控除分を地方自治体の個人住民税控除で負担していることなどから、特別区長会は2年前に見直し要望を、今年2月には緊急声明を出している。地方の産業振興も大事だが一般財源として見えにくい公共への投資も大事であり、目につきやすい活動だけではなく、社会を支える基盤整備についても尊重しなければならない。

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