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【農業は先進国型産業になった!】
外国人実習生の現地ルポ 実態と課題と展望 第4回 搾乳ロボット導入でデータ化 経営トータルの改革 栃木県那須塩原市青木地区
- 評論家 叶芳和
- 第16回 2018年07月30日
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1 日本の牛はロボットに合わないから実習生依存
日本の三大酪農地帯のひとつ、栃木県那須塩原市青木地区に酪農家・眞嶋大輔氏を訪問した。先進的な酪農家で、栃木県屈指の理論家(実践)である。堆肥処理から発生するアンモニアを回収するなど、先端を走っている。昨年、搾乳ロボットを導入した。ロボットの実態を聞いて、時代の大転換と、日本農業の立ち遅れを実感した。
一番驚いたのは、「うちの牛はロボットに合わない」(ロボット向きに改良されていない)ということだった。眞嶋氏は搾乳牛100頭の規模である。メーカー仕様によると、ロボットは1台で50~60頭搾れるので、2台の搾乳ロボットを導入した。しかし、現在ロボットで搾っているのは80頭、残り20頭は従来のパーラーで搾っている。牛がロボットに合わないのである。そうしないと、牛20頭を淘汰しないとならない。
ロボット化はヨーロッパで始まったが、ヨーロッパの場合、乳牛はすでに「ロボット向きの牛」に改良されている。
搾乳ロボットはアームが横に平行移動して、カメラあるいはレーザーで乳頭の位置を検出し、4つのティート・カップが乳首に吸い付くように吸着する(写真参照)。パーラー方式の場合、人の手で乳首にティート・カップを導くのであるが、その工程が自動化されたのである。ロボットとはいうが「アシモ君」型ではなく、“自動化機械”である(アシモ君を想う人には??)。すでにお産を経験した経産牛は乳頭が大きく、ロボット化に合うが、初産は乳頭が小さいなどロボット搾乳に向かない。個体によって、乳頭の配置、乳首の長さ、体高などが違うので、今の日本の牛の場合、8割はロボット化に適合するが、1~2割はロボットでは搾れない。
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叶芳和 カノウヨシカズ
評論家
1943年、鹿児島県奄美大島生まれ。一橋大学大学院経済学研究科 博士課程修了。元・財団法人国民経済研究協会理事長。拓殖大学 国際開発学部教授、帝京平成大学現代ライフ学部教授を経て2012年から現職。主な著書は『農業・先進国型産業論』(日本経済新聞社1982年)、『赤い資本主義・中国』(東洋経済新報社1993年)、『走るアジア送れる日本』(日本評論社2003年)など。
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