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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

独自の研究・開発で経営を伸ばす

メーカーが生き残るために研究開発費は必要不可欠

最近、国内の自動車7社の2018年度の研究開発費が過去最高になりそうだというニュースを見た。その規模は約3兆円で、電気自動車への移行や自動運転システムの開発が急務になっていることを背景に、ここ数年で急速に増えているというのだ。自動車産業が最先端技術の研究開発に生き残りを懸けている様子が伝わってくる。
国内の自動車メーカーが研究開発に力を入れざるを得ないのは、日本がこの分野で出遅れているからだろう。電気自動車の研究開発のリーダーはなんと中国で、ここにきて自国市場の大きさと環境対策を強みに、世界へ攻勢を掛けている。経済大国の雰囲気を見せて、中国企業は相当な予算を開発に注ぎ込み、日本市場にも売り込み間近である。
同じ状況にあるのは、農業分野でも身近な製品のドローンだ。ドローンの頭脳である飛行制御システムと各種センサーは、市場の大半を占める中国企業の研究開発が実を結んだものである。いまや撮影用の小型機種から農薬散布用、荷物輸送用の大型機種まで用途に応じて幅広いラインナップが展開され、丈夫で軽い部品を組み合わせたシンプルな構造がウリである。
これまでの私は、部品は海外製でも、日本で組み立てられた日本製を選ぶようにしてきた。たとえば、原稿の執筆に欠かせないノートパソコンは20歳のときに初めて購入して以来、同じ国内の某メーカーのものを愛用している。現在は8代目で、平均すると2年弱に1台のペースで、更新してきたことになる。1号機の価格は22万円だったが、現行機は10万円と半値になり、逆にスペックは数万倍に桁外れに向上して使い勝手が良くなった。ほかにも携帯電話は使い始めから22年、デジカメは18年。日本の製造業を応援したいのと、なんとなく精密機器の商品力は日本がナンバーワンと思いたい気持ちで日本製にこだわってきた。しかし、いずれも海外メーカーの研究開発のおかげか、お手頃価格でスペックにも満足できる商品が増えてきたことは消費者として歓迎している。
かくいう私も中国製のドローンに飛びついて、すっかり楽しむ側に回っている。中国製品に漠然と「安かろう、悪かろう」のイメージを抱いて、独自の商品開発力が乏しいと思い込んでいたのも、国交正常化して以来、日本が開発援助をしてきた国と恩着せがましい認識も改めるべきなのだろう。中国企業は、国の後押しを受けてしたたかに研究開発費を集め、海外の先進企業の真似をしながらも研究開発に力を入れてきたのだから、台頭してきたのは当然のことである。

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