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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

独自の研究・開発で経営を伸ばす


そのランキングには売上高と従業員数が併記されていたのも興味深かった。大企業の研究開発費の額面には目が飛び出るが、売上高や従業員数で割り戻してみると、業種別に特徴があるようだ。最新の『会社四季報』のデータより、ランキング上位の企業を中心に研究開発費を売上高、従業員数とともに表1に示したので眺めていただきたい。
まず、自動車業界は売上高に対して3~5%の範囲に収まっている。電気機器、精密機器、化学メーカーも2~9%以下の水準で、この辺りが大手メーカーの一般的な数字といえそうだ。既存技術への投資で利益を生み出し続けられればそれに越したことはないが、時間の経過に伴って商品価値が下がる業界では、研究開発は事業を続けるための生命線となる。たとえば、製薬業界では特許が切れると薬価が極端に下がるので、常に新薬を市場に投入し続けないと売り上げを維持できない。必然的に研究開発が事業の柱となるわけで、医療用医薬品を手がけるメーカーの売上高に占める割合は15~25%と大きい。
それ以上に驚いたのは、ドラクエやファイナルファンタジー(FF)を輩出しているスクウェア・エニックス・ホールディングスや、モンスターハンターシリーズを手がけるカプコンである。研究開発費が売上高の3~5割を占めるのだ。生産にコストがかかる製造業ではあり得ない数字である。ソフトウェアの場合は最初に製品化された製品マスターの完成時点までを研究開発として捉えるためで、業種によってコスト計算の考え方が異なることも合わせて覚えておきたい。
一方、農業関連業界の企業の数字を調べてみたのが表2である。上場企業が少ないので、参考にならないかもしれないが、種苗メーカーのサカタのタネ、自社開発の農薬を市場に投入している農薬メーカーは研究開発費をそれなりに計上している。農機メーカーは、エンジン開発等の他部門も抱えていることを照らして眺めていただくほうが良いだろう。肥料メーカーには上場企業もあるが、一様に研究開発費を公表しておらず、重きを置いていないと推測してしまった。たぶん原料のほとんどが海外からの輸入品で、そのブレンディング方法やアレンジに工夫を重ねているものの、海外の肥料メーカーが手がけるような施肥指導のシステムの開発には消極的と見受けられる。こうして数字を眺めただけでも、業種によって、研究開発費のあり方はさまざまであることがわかる。

どこまでが研究開発費か

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