記事閲覧
【土門「辛」聞】
「再任拒否」で勇退に追い込まれた奥原正明次官の無念
- 土門剛
- 第167回 2018年07月30日
- この記事をPDFで読む
本稿入稿時点(7月15日)では、同速報が報じた内容を後追いする全国紙はまだないが、各方面にアンテナをめぐらすと「奥原氏の勇退は確定的、後任の選定をめぐりもめたが、末松氏の身体検査で問題がなければ末松氏で決まりだろう」と同速報通りの結果に落ち着きそうだ。
同速報が伝えなかった重要な情報もアンテナに引っかかってきた。
「奥原氏は、官邸に『再任』を求めたが、拒絶された」
これこそ、今回の人事で最大のポイントではないかと思う。「再任」を求めていたかどうかは確認することはできない。ただ奥原氏が任期3年を目指していたのは、疑う余地のない事実である。「勇退へ」という報道が出たことで、結果として奥原氏が期待した「再任」は叶わなかったことになる。奥原氏にとって売り物だった農協改革などから分析してみたい。
奥原氏と深く話をするようになったのは、彼が経営局農協課長だった2000年9月のことだった。当
時、千葉県内の農協組合長で県信連の会長だった方から農協課長を紹介して欲しいと依頼された。不良債権処理のことで相談したかったのだ。面会の要望を取り次ぐと、最初は
「千葉県信連のルートで依頼して下さい」とやんわりと断られてしまった。そのルートを使いたくないという組合長の要望を告げると、「分かりました」と承諾してくれた。奥原氏とお付き合いするようになったのはこれが機縁だった。
同速報が伝えなかった重要な情報もアンテナに引っかかってきた。
「奥原氏は、官邸に『再任』を求めたが、拒絶された」
これこそ、今回の人事で最大のポイントではないかと思う。「再任」を求めていたかどうかは確認することはできない。ただ奥原氏が任期3年を目指していたのは、疑う余地のない事実である。「勇退へ」という報道が出たことで、結果として奥原氏が期待した「再任」は叶わなかったことになる。奥原氏にとって売り物だった農協改革などから分析してみたい。
「ミスター農協改革」と呼ばれて頭角現す
奥原氏と深く話をするようになったのは、彼が経営局農協課長だった2000年9月のことだった。当
時、千葉県内の農協組合長で県信連の会長だった方から農協課長を紹介して欲しいと依頼された。不良債権処理のことで相談したかったのだ。面会の要望を取り次ぐと、最初は
「千葉県信連のルートで依頼して下さい」とやんわりと断られてしまった。そのルートを使いたくないという組合長の要望を告げると、「分かりました」と承諾してくれた。奥原氏とお付き合いするようになったのはこれが機縁だった。
会員の方はここからログイン
土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)