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人生・農業リセット再出発

香水MITSOUKOと映画カサブランカ


クーデンホーフ家は、ボヘミアとハンガリー一帯の広大な領地を有する超名門、そこに東洋人妻が混血の子連れで現れたから大騒ぎになった。「光子は伯爵夫人だ。堂々と振る舞いなさい」と大使は励まし、「妻を白人扱いしない輩には決闘を申し込む」と社交界に宣言した。伯爵は子どもたちを完璧なヨーロッパ人として教育するため、日本語の使用を禁じた。陰口を言われながらも光子は家庭教師をつけて猛勉強した。だが、1904年の日露戦争で貧しい日本が大国ロシアに勝ってからは周りの目が変わった。伯爵が急死して莫大な遺産を相続し、“クーデンホーフ・カレルギー・ミツコ”の名が社交界の花になり、ゲラン社の香水「MITSOUKO」が世に出る。しかし、第一次世界大戦でドイツと共に敗戦国となって帝国は崩壊、領土を没収される。
時に、東京生まれのリヒャルト栄次郎は19歳のウィーン大学生。ユダヤ美人女優イダ、34歳、子連れで二度の離婚歴あり、その15歳年上の女性と結婚して光子に勘当される。栄次郎の人種差別と戦争の苦悩は“国境を取り外した欧州連合国”構想に向かう。イダの貯金で「汎ヨーロッパ社」を設立、欧州統一を目指す。ヒトラーは、ユダヤ人の迫害に走った。反ナチ運動リーダーの栄次郎は妻を連れてパリに逃走し、ドイツ軍に抗戦するレジスタンス「自由フランス」の幹部になる。
欧州統一国を説く「汎ヨーロッパ」を出版すると、ヴィクトル・ユーゴー、チャーチル、アインシュタイン、トーマス・マン、フロイド、リルケなどが絶賛し、ユーロ構想の下敷きとなる。第二次世界大戦へ突入、ナチと戦いながらユーロ統合運動を続ける。ヒトラーがパリに侵攻したので、中立国ポルトガル経由でアメリカ亡命を計画する。
リスボンから大西洋横断船でニューヨークへのルートだが、ビザはカサブランカで発行される。夢を求めてアメリカ行きを目指す者がごった返して、ビザ発行待ちをしている混沌の港町。そこには紳士淑女とフランス警察、ドイツ軍将校たちなどが夜毎に集まるカジノクラブ「カフェ・アメリカン」があった。経営者は、なんと栄次郎が投獄されている最中にイダが大恋愛した末に別れたアメリカ人リックだった。そのリック役にハンフリー・ボガード、女優イダはイングリッド・バーグマンが、そして栄次郎の役はポール・ヘンリードが扮する。栄次郎とイダは、リックのなんとも粋な計らいで、渡米に成功する。
1999年に栄次郎の壮大な夢が叶って大ユーロ圏が成立する。「EECの母・伯爵夫人ミツコ」は、欧州の伝説である。

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