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土門「辛」聞

行政の過剰介入がもたらす大規模生産者の連続倒産

 「ところで認定農業者制度ができて何年も経つが、経営改善はホントに実現できたのかい。それより経営改善計画をホントに信用しているのかい」

 相手にすれば殴ってやりたいぐらいの嫌みな質問だったかもしれない。答えがわかっていて聞くものだから。ホントにタチが悪いと思う。少しは反省しているが、これも商売故、許していただきたい。それでも受話器の向こうから丁寧な返事が戻ってきた。

 「役所の政策評価でも、問題なしとの結論をいただいております」 筆者の突っ込み質問はこうだった。

 「ほ、ほ~、問題なしか。じゃ聞くけど、(社)日本農業法人協会の幹部は、メンバーの7割から8割は赤字スレスレと放言しているよ。その系列下にある全国稲作経営者会議も、幹部が同じようなことを放言している。これでも問題なしの政策評価が出るんだね」

 痛いところを突かれたのか、官僚氏はひるんでしまった。

 「いや、それは、あの、その、一部のことでして……」

 「へぇ~、それがどうして一部なんや。あの方々はわが国を代表するリーダー的存在やないか。それが8割も赤字というのは異常だと思わないかい。経営改善計画を出しても、改善の効果がないというのは、認定農業者取り消しではないかな。皆さん方の漫画的なところは、融資を受けても、きちんと返済できる優秀な生産者に、ただ生産調整を守らないからといって、認定農業者の資格を与えないか、あるいは資格を剥奪する奇想天外な政策を性懲りもなく続けて赤字農家ばかり増やしておる」

 可哀想に人の良さそうな官僚氏は、ずっと押し黙ったままだった。

 「認定農業者は、ちゃんと税金を払っているのかな。財務省の役人に聞くと、認定農業者は、農業で税金を払っていないというではないか。そんな農業者に政府系金融機関の低利融資や、補助対象とすることは、この財政状況をみるともはや犯罪的ですぞ。しかも日本農業法人協会や全国稲作経営者会議の面々で役人を『お仲間』と自称する幹部連中は、税金も満足に払えぬような経営しかできていないのに、皆さん方のような俊英なる官僚に対し、『君』付けで呼んでいます。これって、悔しくはありませんか」

 このコラム欄でも書いたことがあるが、生産調整をしないと認定農業者にしないというのは、政策担当者自らが「アホです」と認めたようなものではないか。認定農業者制度は、それが国民に理解されるとしたら、農業者が自らの判断できちんとした経営ができることを条件に認定するものであって。行政が定めた経営方法に合致しなければ認定しないというのは、いずれ経営破綻する「農業者」を増殖させるだけである。何よりも政府系金融機関による低利融資と補助金の受給資格を与えるというのは、貸したカネがきちんと返済されるかどうかであって、そこから制度設計しなければならない。返済の見込みがない者に、融資をしたり補助金を与えたりすることは絶対にしてはならないことである。

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