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農業は先進国型産業になった!

外国人実習生の現地ルポ 実態と課題と展望 第5回(番外編) アジアにおける外国人争奪戦―海外出稼ぎ労働者の未来市場―


図1に示したように、今後は同じアジア地区で、労働力が減少する国と増加する国が併存することになる。不足と過剰の両方があることが取引の誘因となる。加えて、出稼ぎ労働者の受入れは相手国への「経済協力」を意味するので(拙稿「続・中国が労働力を輸入する日」参照)、労働力不足の経済大国が受け入れに転じる可能性がある。
アジアの大規模な労働移動は、中国の台頭(経済発展)と人口動態(労働力減少)が引き金になる。労働力の増加一途から減少への転換、外国人労働者を吸引できる賃金水準への発展が、同時に起きている。しかも、これが人口超大国で起きるので、交流人口の規模が大きくなる。
これだけ活発な人口移動は、EUなど欧米では前から見られたが、アジアでは初めてだ。しかも、巨大需要国がニューカマーとして現れ、これが未開発の奥地まで労働力供給源を掘り起こしていく。アジア初、そしてかつて例のない大規模移動がみられよう。20年代、国際労働移動は“新局面”に入っていくであろう。

【外国人材の争奪戦の時代】

中国の台頭が、大規模な国際労働移動を引き起こす。沿海地区都市部企業の就業者数は2億821万人である(16年)。外挿法で機械的に試算すると、20年には2億4000万人になる。仮に日本と同様、就業者の2%を外国人労働者に依存すると、中国の沿海部は20年に470万人の外国人労働者を受け入れることになる。
今まで、労働力の輸出国だった国が輸入国になり、しかも日本の現状(128万人)の4倍近くを受け入れる。国際労働市場で470万人を需要するニューカマーの出現だ。仮にそうなれば、中国による労働力の「爆買い」が始まる。日本は中国とフィリピン人やインドネシア人などを取り合う競争となろう。外国人労働者の争奪戦である。
日本は競争力があるであろうか。出稼ぎ労働者が得られる所得は、日本に来る方が中国に行くより高いであろうか。外国人労働者受入れの競争力は賃金水準とその国の魅力(ソフトパワー)の関数であるが、日本は魅力を持たれるものがあるであろうか。中国の爆買いに対抗する手段を考えなければならない。

【水平分業】

中国の外国人労働者受入れは「水平分業」となろう。中国は沿海部と内陸部で経済発展の格差が大きく、また沿海部の中でも格差が大きい。沿海部は先進国の仲間入りをしたとしても、内陸に遅れた地域があり、移行過程、過渡期の国である。したがって、内陸部からの農民工の供給は依然存在し、彼らは上海にも行くが、一部は日本に来ることもあろう。一方で、沿海の高賃金地域では外国人出稼ぎ者の受け入れもあろう。中国全体としてみれば、外国人労働者の送り出しもあれば、受け入れもあるという構図である。

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