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堆肥を媒介としたこの畑地、家畜、人間の健全化循環こそ、畑作と畜産の高収益化と並ぶ耕畜連携のもう一つの目標である。昨今、家畜への抗生物質の過剰投与の問題が顕在化している。抗生物質から脱し、家畜の腸内に有用微生物が宿るように、生菌製剤(プロバイオティクス)を給与する肥育方法への転換が求められる。
内山氏は、家畜に与える「飼料」と「飲み水」を活性化するという方法を用いた家畜健全化システムを提案している。飼料には、食品残渣など食品未利用資源をバイオ処理して生成される「生菌発酵飼料」を配合して与え、家畜の腸内の有用微生物を増殖・活性化させる。そうすることによって、家畜の免疫力と成長力を高める。飲み水には、土壌菌群の代謝物(酵素)と、豊富なミネラルを含む「生物活性液」を添加し、自然水に近い水に改善して与える。こうして家畜は健康になり、排せつ物は有用微生物によって分解され、効果の高い堆肥になる。また、臭いなどの糞尿公害も解消できる。
内山氏は、実際に作物の生育や収量、品質に効果が現れた有機肥料の例を紹介している。ひとつは、豚尿を土壌菌群で発酵分解し、生菌液肥を生成する方法。もうひとつは、内城本美氏が培養した「内城土壌菌」を食品バイオリサイクルの過程で投入し、有機肥料を生成する方法。健康な食と高収量を目指す地域内循環型システムは、農地と畜産の健全化の仕組みがあってこそ実現するだろう。
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