ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

農業機械のコストの話(1)5つの異なる所有方法


最後の五つ目は農業機械銀行と呼ばれる方法である。ドイツのマシーネン・リンクをモデルに1970年代以降に全国各地に設立された。機械を取得できない人に機械を貸し出し、その賃貸料を原資に新たな機械を取得し、メンテナンスを行なうしくみのことだ。平均的な運用規模は数百haで、市町村や農協が出資したケースも多かった。一時は素晴らしい機械所有のしくみと賞賛されたが、個々の農業経営体が拡大して自己で機械を所有できる経済力がついたこと、機械の更新がニーズに反映したものでなかったこと、故障や破損した場合の費用負担が曖昧で揉めたことなどを理由に、平成に入ってからは下火となってしまった。プロ農家向けの機械装備で新たに仕切り直しができれば、活路を見いだせるかもしれない。
機械を購入する時点でこれら5つの選択肢すべてがある場合は、経営環境が整ったところで農業をしているといえるだろう。土地を集約できていたり、共同所有する相手に恵まれていたり、自治体や農協との連携がスムーズであったり、個人の努力で得られない部分も多いからだ。
農業経営体の成り立ちに関わらず資産規模が大きくなれば、高額な機械を購入できるが、機械の稼働率などを考慮しないと修理費や減価償却費が膨らみ、諸刃の剣になりかねない。単純に機械を共同所有して資産規模や農業機械資産を整理しても、それだけでは経営の合理化や効率化は進まない点を肝に銘じておこう。各々の経営に歴史があって、一口に共同といっても馬が合わなければ同盟は結べない。過剰な機械装備が資金繰りを圧迫していると感じたら、過去3カ年の財務諸表を眺め、労働力と機械装備、資金量のバランスを見直す機会と前向きに捉えよう。

関連記事

powered by weblio