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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

中国(1) 軍需と民間投資で進む雲南省の取り組み

中国といえば、繊維製品の世界一の生産国である。原料の綿花、加工品の繊維、製品としての衣服を大量に世界各国へ輸出している。その規模は全世界の紡績加工総量9000万tのうち4800万tに及ぶ。
そのうちの約6割を占める化学繊維は、原料の石油に将来枯渇の恐れがあることから、再生可能な天然繊維に置き換えていくことが今日的な課題とされている。しかしながら、天然繊維原料の代表格である綿花は長く栽培していると病害虫の被害を受けやすくなり、農薬や化学肥料、水資源を大量に必要とするため、これ以上の増産は見込めない。現に中国での綿花の生産量は2015年以降、約300万haに留まっている。
絹や羊毛も生産されているが、綿花に代わる天然繊維として有望なのは、麻繊維だ。原料によって、フラックス(亜麻)、ラミー(苧麻)、ヘンプ(大麻草)、ジュート、ケナフ、イチビ、羅布麻、サイザル麻、バショウがあり、フラックスとラミー、ヘンプは紡績繊維として、それ以外はほとんどが縄や包装材料として使われる。麻繊維のなかでも、潜在的可能性を買われて生産規模を拡大しているのはヘンプだ。17年の中国全土の栽培面積は約4万6600haで、その7割が紡績原料である。

国家レベルでの研究開発プロジェクト発足が契機に

中国におけるヘンプの歴史を振り返っておこう。現存する世界最初の製紙は、105年の後漢時代に蔡倫がヘンプからつくったものと言われている。中国最古の医薬書『神農本草経』の365種にはヘンプの花や種子が収載されていて、その当時から暮らしに欠かせない作物として栽培されていたことがうかがえる。

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