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【土門「辛」聞】
なぜ水稲作況調査は実態からかけ離れているのか
- 土門剛
- 第168回 2018年09月03日
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正確な作況指数がつかめなくなった
6日に公表してきたのは、民間調査会社の米穀データバンク。全国作況指数は「102」の「やや良」だった。ここが出す数字がアテにならないことは、本誌2010年10月号で取り上げた。そのときに指摘したのは、気象データだけに頼る予測方法の限界だった。従来、この種の予測方法は有効だったが、昨今のように気象変動が激しく、しかも手抜き農法が蔓延している現場の実態では、正確な予測結果を得ることは難しくなったのだ。
手抜き農法とは、一発肥料と呼ぶ緩効性肥料に頼る農法のことだ。通常、春の田植え前(通常は耕起前もしくは代掻き前)に基肥(もとごえ)を施し、夏に穂が出る出穂の前に穂肥を施す。一発肥料は、基肥と穂肥を一つにして春の田植え前に施しておけば、真夏の出穂期に穂肥を施す手間をなくせるという便利な肥料だ。肥料粒を被覆材でコーティングして、気温(水温)が上昇すると、ピンホールの穴が大きくなり、肥料成分が溶け出す仕組みだ。
皮膜の材質やピンホールの数は、穂肥を施す夏場の気温を予測して決めておく。プロの気象庁でさえ予測が難しい半年後の気象を肥料メーカーが予測することになる。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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