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土門「辛」聞

なぜ水稲作況調査は実態からかけ離れているのか

8月になると官民双方による水稲の作況指数や作柄調査が出揃う。いずれも秋の収穫予想につながる情報だ。しかし、残念ながら参考になるような代物ではない。どちらも実態と大きくかけ離れた数字が出てくるからだ。

正確な作況指数がつかめなくなった

6日に公表してきたのは、民間調査会社の米穀データバンク。全国作況指数は「102」の「やや良」だった。ここが出す数字がアテにならないことは、本誌2010年10月号で取り上げた。そのときに指摘したのは、気象データだけに頼る予測方法の限界だった。従来、この種の予測方法は有効だったが、昨今のように気象変動が激しく、しかも手抜き農法が蔓延している現場の実態では、正確な予測結果を得ることは難しくなったのだ。
手抜き農法とは、一発肥料と呼ぶ緩効性肥料に頼る農法のことだ。通常、春の田植え前(通常は耕起前もしくは代掻き前)に基肥(もとごえ)を施し、夏に穂が出る出穂の前に穂肥を施す。一発肥料は、基肥と穂肥を一つにして春の田植え前に施しておけば、真夏の出穂期に穂肥を施す手間をなくせるという便利な肥料だ。肥料粒を被覆材でコーティングして、気温(水温)が上昇すると、ピンホールの穴が大きくなり、肥料成分が溶け出す仕組みだ。
皮膜の材質やピンホールの数は、穂肥を施す夏場の気温を予測して決めておく。プロの気象庁でさえ予測が難しい半年後の気象を肥料メーカーが予測することになる。

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