ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

土門「辛」聞

なぜ水稲作況調査は実態からかけ離れているのか


作況調査の結果がいかに実態とかけ離れているか証明してみよう。表1を見てほしい。16年産の作況指数の確定数字は「103」で豊作だった。本来なら米価は下がるはずだが、相対取引価格は前年産比8%も上がるという逆転現象だ。
同年産の主食用米は838万tの生産量。作況指数1ポイント分は約8
万tに相当する。この間の民間在庫量はほぼ同じ水準だった。飼料米の生産量は前年産比6万5000t増。
こうしたことから「103」の豊作なら、米価は下がることがあっても上がることは考えられない。相対取引価格が8%も上がっていたということは、作況指数が「103」ではなく「100」程度だったというのがマーケットの見方だ。

平年収量10年間で2ポイント上昇の不思議

最後に農業政策にとって極めて重要な統計資料となる「平年収量」のことを取り上げてみたい。ただの「収量」は、実際に収穫できた量のことだ。平年収量は、「その年の気象の推移や被害の発生状況などを平年並みとみなし、最近の栽培技術の進歩の度合や作付変動等を考慮し、実収量のすう勢を基にして作成されたその年に予想される10a当たり収量」(農水省資料)である。
作柄の良否を表す作況指数の基準になるだけでなく、農作物共済事業の共済基準単収の算定などにも使われる。それだけに実態を反映した数値が求められる所以である。
先の表に目を移していただきたい。何かおかしいと思われないだろうか。08年産から10年間で2ポイントも上がっていることだ。生産力が上昇しているという意味だ。少しでも農業現場の実態を知っている方なら、この数字に意外感を持たれる方は多いだろう。高齢化の進行、激しい気象変動、手抜き農法、どこをどう見ても平年収量が2ポイントも上昇する要素はどこにもない。逆に上昇の根拠を示してもらいたい。
平年収量が10年間で2ポイントも上がることはまずあり得ない。一発肥料が作況調査の結果に与える影響についての問題は、何も解決していない。その疑問を統計部にぶつけたら、「緩効性肥料(一発肥料)が技術的に改良されて穂肥のタイミングが合うようになった」(生産流通消費統計課)という答えが戻ってきた。初めて聞く話なのでその根拠を示すよう求めたところ、「メーカーのパンフレットにそう書いてあった」と口から出任せの返答。「どこのメーカーだ」と声を荒げると、最後は謝ってきた。
統計部という組織の解体的出直しが必要かもしれない。

関連記事

powered by weblio