ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

イスラエル・ハイテク農業 視察報告

世界で最も苛酷な農業生産環境で世界有数の競争力を実現するハイテク農業の最前線

5月5日から11日にわたり、イスラエル“ハイテク農業”視察ツアーが行なわれた。3年に一度に開催される世界最大級の農産業・花卉園芸・畜産酪農の総合展示会「アグリテック」に合わせ、当社とイスラエル大使館経済部が共催した。 ツアー参加者のうち5名に視察報告をしていただいた。
(コーディネイト/浅川芳裕、まとめ/平井ゆか)

視察報告1 なぜイスラエルなのか

桑畠健也氏
沙漠の塩類集積除去をテーマに、博士(農学)を取得時以来、イスラエル農業に関心を寄せる。念願のイスラエル訪問をきっかけに、農業の世界にイノベーションが起こりつつあることに瞠目。埼玉県所沢市議会議員。

【先進性のあるイスラエル農業】

私は、沙漠の研究をしていたころに、イスラエル農業の先進性を知った。なぜ先進性があると言われているのか。
ひとつは、数学と物理学をはじめとした科学技術を駆使しているからである。事実、かつて英国人による経験主義の世界だった土壌学は、オランダ人とユダヤ人が数学を取り入れたことによって飛躍的に進歩している。
もうひとつは、水を希少資源として捉えて有効活用していることだ。日本の用水単価は1立方m当たり3円なのに対し、イスラエルでは日本の20~30倍になる。だからこそ、水を有効活用する工夫が生まれたのだろう。水田農業に特化している日本の農業技術を応用できるのは、東南アジアや中国の北東部、台湾など、日本と同じ温暖多湿の稲作地域に限られる。一方、イスラエルの農業技術は、世界の陸地の48%を占めるという乾燥地で応用できる。つまり、農業技術支援のマーケットの大きさで考えると、水資源が豊富な日本よりも、水不足の問題を克服したイスラエルのほうが大きなマーケットを持っていることになる。
また、輸出を前提とした農業を展開しているということも先進性のひとつとして挙げられるだろう。高品質で希少性があるものや、他国の最盛期以外に出荷できるものなど、他国ではできない農産物生産に特化するという戦略をとっている。

関連記事

powered by weblio