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特集

イスラエル・ハイテク農業 視察報告


イスラエル農業の先進性を支えているのは、農業に対して変なこだわりがないということだ。また、大学と連携した学術的なアプローチが進んでいることが、イノベーションにつながっているといえる。

■日本の課題を考えてみる

イスラエル農業を念頭に置きながら、日本の課題を考えてみよう。
日本では、宮沢賢治や水戸黄門の世界のように、農業は神聖なものとする発想から来る独特のこだわりがある。職人的発想が根強く、施肥の量を「ひと握り」と言い表わすように、いまだに勘に頼った技術が語られている。
コスト度外視で、水と人の無駄遣いをしていることも大きな問題だ。日本では農業用水は安いものの、徳島県のように季節偏差があって、局地的には水が足りなくなる地域もある。このまま水を無駄遣いする農業を続けていて良いのだろうか。労働力についても、苦役に近い労働をすることが好まれるため、若者の農業離れが進み外国人の労働力に依存している。
また、農学は論文執筆がメインで、農業現場の知見が蓄積されていないのに、日本の農業技術が、世界のトップレベルと勘違いされているという問題もある。そのため、イノベーションが起こりにくい。
さらに、今後、少子高齢化で国内マーケットが縮小していくため、非常に厳しい状況に置かれるが、輸出産業を志向しないという特性がある。
農産物の輸出について、日本とイスラエルを比べてみよう。
日本もイスラエルも、他国より労賃が高いことと、輸出先の市場が遠いという課題を抱えている点では同じである。日本の農産物・食品の輸出額は8070億円(2017年)だが、これは輸入額の8.6%に過ぎない。一方、イスラエルでは、農産物の輸出額は多くないが、輸入額の55%に及んでいる。
イスラエルでは、弱みを強みに転換させるために、他国では生産できない農作物生産、利益が見込めそうな付加価値の高い農産物生産に特化している。イスラエルと日本との違いを一言で表すと、この戦略があるかないかの違いだ。

【「土」と「農」の発想から離れ、「植物生産」という発想へ】

私がこのツアーを通じて得た結論はこうだ。マーケットは日本国内ではなく、広く世界を前提とする必要があるということ。いいものをつくれば必ず売れるといったガラパゴス的な発想では負けてしまう。プラズマディスプレイや、スマホに取って代わられたカーナビのように、いいものをつくれば、みんなが寄って来て買ってくれるという発想はやめたほうがよい。日本人向けの食味にこだわるとか、日本人がいいものを広めるといった島国的な発想は捨てていかないと輸出志向にならない。

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