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【農業は先進国型産業になった!】
外国人実習生の現地ルポ 実態と課題と展望 第6回 先進農業地帯の実習生は明るく日本語上手だった
- 評論家 叶芳和
- 第18回 2018年09月28日
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4 実習生依存から自動化ロボット化か
【都市近郊、日本人労働力も豊富】
赤羽根町の花き農家、鈴木達司氏を訪問した。2000坪の温室でマダガスカルジャスミン、ラベンダーの花き栽培のほか、遊休農地を活用した露地野菜(キャベツ、タマネギ、スイートコーン、サツマイモ、ジャガイモ)も手掛ける。田原市には遊休農地は少ないので、豊橋市まで行って拡大している。キャベツは11?haの大規模である。鈴木氏は、後継者である息子が夢を持ってやっていると喜んでいた。
従業員は、家族3人+雇用者9人である。雇用のうち、2人はベトナム人実習生、7人は日本人である(豊橋や蒲郡からも来る)。都市近郊であり、トヨタ田原工場従業員の主婦などパート労働力は多い。40年前、農協青年部長をしていた頃、日本は高度成長期で、農家に人は残らなかった。「米国はメキシカン、日本もそうしないとやっていけない」と考えたそうだ。実習生は1995年から活用している。当初は中国人ばかり5人(女性)であったが、4~5年前、変更した。中国人の質が落ちてきたからである。そこで、フィリピン人を入れたら、1日で逃げられた。現在はベトナム人2人である。
鈴木氏は、実習生も日本人も差別なく、楽しく仕事することをモットーにしている。一緒にリンゴ狩りに行ったり、明日はみんなで鮎を食べに行くという。
実習生の賃金は、最賃が875円なので基本給は14.5万円(週休2日)。そこで、週休1日とし、土曜日は残業と見なし(32時間=4日×8時間)、月給は18万円である。日本人主婦パートも時給は同じである。
タマネギの皮むき作業中のベトナム人実習生ルック君(2年目、20歳)に会ってビックリした。日本語がパーフェクトに近い。農家出身で、高卒でここへ来た。筆者がこれまでに出会った実習生の中で、一番上手な日本語だった。鈴木氏によると、毎日、話し掛け、会話しているから上達したという。コミュニケーションをとっていれば、失踪もないという。
ルック君は帰国したら、スイカ農業をやりたいという。日本のスイカのほうが美味しい。タマネギはベトナムにたくさんあるという。実習制度が見直されたので、5年間日本にいたいが、日本語のテストが厳しいと心配していた。鈴木氏は「技能試験は要らないのではないか」と制度改革を訴える。
【実習生依存から自動化、ロボット化か】
福江地区のスプレー菊農家、高橋講治氏を訪問した。2800坪の温室で白、黄色、ピンクの3色のスプレー菊を栽培している(他に苗場250坪)。中国人実習生が3人いる。2005年から実習生を活用している。出荷段階の菊の結束・ラッピングは自動化され奥さん一人の作業、実習生は温室での植付けや収穫などが主な仕事である。出荷量が多い時、実習生も非自動のラッピング機械で作業する。
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叶芳和 カノウヨシカズ
評論家
1943年、鹿児島県奄美大島生まれ。一橋大学大学院経済学研究科 博士課程修了。元・財団法人国民経済研究協会理事長。拓殖大学 国際開発学部教授、帝京平成大学現代ライフ学部教授を経て2012年から現職。主な著書は『農業・先進国型産業論』(日本経済新聞社1982年)、『赤い資本主義・中国』(東洋経済新報社1993年)、『走るアジア送れる日本』(日本評論社2003年)など。
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