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スマート・テロワール通信

山形県庄内の若手農業者が夏フェス開催


夏フェスの開催については、事前に地元のテレビ局4社とタウン誌で報じられ、当日もテレビ局3社が取材に駆けつけるなど、月山ろくの活動と農地が広がる美しい景観を広く伝えられる機会となった。この日の売上の一部は、地域への感謝と循環を目的に、山形県代表として高校野球夏の甲子園大会に出場した地元高校に寄付された。 (平井ゆか)

中田康雄の気づき

【EPAによる畜産・畑作衰退を阻止する耕畜連携】
日EU・EPAは2017年12月8日に交渉妥結、18年7月17日に署名に至った。
「日本での輸入豚肉のシェアは米国産が首位を保つが、比率は08年の41%から16年には31%まで低下。デンマーク産などのシェアが高まれば、米国産はさらに競争力を失いかねない」(日経新聞17年7月9日朝刊)
日EU・EPA交渉が大筋合意したことを受けて、米国の豚肉生産業界が、日本市場をEUに蚕食されることを懸念して、TPPに替わる日米EPAを要求する声明を出した。
この声明からTPPであれEPAであれ、EUも米国も狙っているのは日本の農畜産物の市場であることが明白に読み取れる。EUも米国も食料自給率は100%を超える農業大国であり、農畜産物の輸出国である。したがって貿易交渉の重点は農畜産物に大きな比重がかけられることになることを見誤ってはならない。
日本の豚肉の自給率はカロリーベースで51%。49%を輸入に依存している。豚肉の関税がEPAによって現行482円/kgのところ、10年後に50円に引き下げられることになれば、自給率の急落は免れない。
EUも米国もEPA交渉を通じて日本の農畜産品の関税引き下げを大きな目玉としている。
日本の農業は稲作中心の極めていびつな構造であり、これが日本の農業農村の衰退の原因なのだ。ゆえに日本農業の再生は畑作農業の振興に大きくかかわることは間違いない。畑作農業は畜産業が排出する堆肥を低コストで活用し、畜産業は畑作農家の排出する不適格品を飼料として低コストで活用することがそれぞれの発展になることから、耕畜連携構造こそ日本農業再生の切り札といえる。
しかし、EUならびに米国とのEPAは、日本の畜産業界に大きな打撃を加えることになり、日本の畑作農業の再生の可能性を閉ざすことにつながる。それは同時に日本の食料自給率をさらに押し下げ、地域の衰退に追い打ちをかけることに他ならない。
スマート・テロワールにおいて畜産を要としているのは、この状況の打開策である。

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