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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

中国(2) ヘンプを推進する条例を作った黒龍江省

中国のヘンプ産業の中心は、前回紹介した最西南部の雲南省だが、最近は黒龍江省が頭角を現している。黒龍江省はロシアと国境を接する中国の最北東部に位置し、かつて満州国があった地域だ。省内に広がる大平原ではおもにトウモロコシやマメ類などが栽培され、中国の食糧基地と呼ばれている。2017年の作付面積は2万8000haと中国一の生産地である。
8月に(一社)北海道ヘンプ協会が企画した視察ツアーで現地を訪ねた。同協会の了解を得て、その最新動向を伝える(写真はいずれも同協会の提供)。

省政府直轄の研究拠点

ヘンプの研究拠点は、黒龍江省科学院の大慶分院に置かれている。74年に設立された亜麻産業研究所が前身で、09年に省政府直轄の自然科学研究組織の支部として改組された。大慶分院だけで研究員は72名、試験栽培地は300haを有する。案内された展示室には、種子や繊維の原料から衣食住のさまざまなヘンプ製品が並んでいた(写真1)。栽培が盛んなカナダのアルバータ州と、育種で100年以上の歴史を持つウクライナと数年前から共同研究をしており、研究棟には「中国カナダヘンプ植物共同研究センター」の看板が掲げられていた。
ここで育成された品種は、「火麻1号」をはじめ9つある。いずれも雌雄異株で、マリファナ成分のTHC濃度が低く、繊維品質が良いという特性を持つ。欧州では、種子と繊維を同時に収穫できる雌雄同株の育種が盛んだが、中国では紡績原料の需要が高いため、繊維品質は雌雄異株のほうが優れる雌雄異株の育種研究が行なわれている。

禁止毒物条例からの除外

黒龍江省での産業用ヘンプの取り組みを加速させたのは、省政府がTHC含量0.3%未満の産業用ヘンプを禁止毒物から除外したことによる。

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