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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

中国(2) ヘンプを推進する条例を作った黒龍江省


17年5月に、黒龍江省の禁止毒物条例の第四章に工業用大麻管理の条項を設けたのだ。届け出により、省が指定する産業用ヘンプの品種であれば栽培できるようになった。
省科学院の趙副院長によると、この条例改正に至るまでに3年間を費やしたという。中国でも一般的な認識は、大麻草=毒草である。政策決定者にその意識を変えてもらい、法律をも変えるのは極めて困難なことだった。事態を打開すべく、海外の国際会議に出席して情報を集め、わかりやすい言葉で何回も説明したうえで、省内でヘンプの国際会議を開いた。政策決定者全員が出席して話を聞き、併設した展示即売場で販売したヘンプ商品を購入して実際に使ってみたそうだ。また、中国には制定から20年経った時代に合わない法律を再検討する制度があり、産業用ヘンプについて取り上げてもらうよう進言もした。省条例の改正は、研究者らの並々ならぬ努力と働きかけが実った形だ。

195億円を投じる産業プロジェクトが進行中

産業界からは、新たに取り組みを始めた企業を紹介する。天木工業大麻科技開発有限公司は17年5月に資本金2000万元(約3億円)で設立したばかりの企業で、大慶市内に4000haのヘンプ栽培地と一次加工工場を所有する。もともと食用キノコ(キクラゲなど)と肥料を製造する会社を営んでいた田社長は、オガラ(麻幹)のチップがキノコの菌床に適することを知り、ヘンプにさらなる可能性を感じたことから新会社を設立したという。ヘンプの栽培、加工、炭製造、食用キノコの栽培、紡績、貿易の6つの事業会社から構成される。
同社の畑では大慶分院が育種した「火麻2号」が栽培されていた(写真2)。ヘンプの茎から繊維とオガラを分離する一次加工場には機械が6ラインあり、その処理能力は1日(24時間)で240tに及ぶ。湿気が多い7~9月は工場を休み、10月から6月までの9カ月間稼働する。なお、中国では紡績用に長い繊維を取るので、欧州の機械とは構造が異なる(写真3)。
同社の事業計画は、現在、繊維・茎・種子加工を手掛ける第一期の段階で、これからさらなる設備投資を行ない、第二期の花・葉・根の加工、第三期の不織布や生地製造まで計画されている。総投資額は13億元(約195億円)が見込まれ、完成時の売上高は年間321億円、地方税額45億円、栽培面積6万6000ha、雇用2000人を目指している。

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