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【土門「辛」聞】
JA秋田おばこ無責任トップに組合員が農協離れでしっぺ返し
- 土門剛
- 第169回 2018年09月28日
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経営破綻と呼ぶ所以はここにある。そして損失のすべてを組合員に肩代わりさせようとしている。それに組合員は猛反発。農協史上、例を見ない農協離れの最新事情をレポートしてみる。
この6月29日、JA秋田おばこが開いた総代会で、2022年度までの5年間で損失を穴埋めする再建策を正式に決めた。農家に損失負担を一方的に押しつける内容だった。
「農家のコメ精算金から1俵(60キロ)当たり300~500円を差し引き、合わせて24億2500万円を補填(ほてん)するほか、内部留保21億4900万円を取り崩す。残りは人件費の削減、農産物販売手数料の値上げ、関連施設の修繕費の削減などで捻出する」(7月4日付け秋田さきがけ新報)
経営破綻を招いた組合長や理事など経営陣への責任追及は曖昧にされてしまった。一応、再建策の中には歴代理事へ総額2億5000万円の損害賠償を求めることも含まれていたが、秋田さきがけ新報は「役員の賠償金の負担割合は決まっていない上に、対象者全員が賠償に応じるかは不透明」と半ばあきれ顔で論評している。
この経営再建策は必ず失敗する。1俵につき300~500円の損失負担を押しつけられた農家が、予想を上回るスピードで農協離れを起こすからだ。
あきれ果てるのは、JA秋田おばこの経営陣が、このことをまるで理解していないことだ。それどころか秋田県内の農協組合長会議では、損失負担を全県に押しつけようとしたのか、JA秋田おばこ救済を目的にした「1県1農協」が議論に出てきている。こんな安易な農協合併を認めたら全県規模での農協離れも起きかねない。
JA全農あきたが9月11日に公表した18年産「JA概算金」も、JA秋田おばこ救済を目的にしたものだ。11日付け秋田さきがけ新報は、「こまち1万2600円前後か、18年産概算金4年連続上昇」の見出しでこう伝えた。以下、いずれも税込み価格での表示。
逃げてしまった秋田おばこの経営陣
この6月29日、JA秋田おばこが開いた総代会で、2022年度までの5年間で損失を穴埋めする再建策を正式に決めた。農家に損失負担を一方的に押しつける内容だった。
「農家のコメ精算金から1俵(60キロ)当たり300~500円を差し引き、合わせて24億2500万円を補填(ほてん)するほか、内部留保21億4900万円を取り崩す。残りは人件費の削減、農産物販売手数料の値上げ、関連施設の修繕費の削減などで捻出する」(7月4日付け秋田さきがけ新報)
経営破綻を招いた組合長や理事など経営陣への責任追及は曖昧にされてしまった。一応、再建策の中には歴代理事へ総額2億5000万円の損害賠償を求めることも含まれていたが、秋田さきがけ新報は「役員の賠償金の負担割合は決まっていない上に、対象者全員が賠償に応じるかは不透明」と半ばあきれ顔で論評している。
この経営再建策は必ず失敗する。1俵につき300~500円の損失負担を押しつけられた農家が、予想を上回るスピードで農協離れを起こすからだ。
あきれ果てるのは、JA秋田おばこの経営陣が、このことをまるで理解していないことだ。それどころか秋田県内の農協組合長会議では、損失負担を全県に押しつけようとしたのか、JA秋田おばこ救済を目的にした「1県1農協」が議論に出てきている。こんな安易な農協合併を認めたら全県規模での農協離れも起きかねない。
生産者概算金から見えてくる目論見
JA全農あきたが9月11日に公表した18年産「JA概算金」も、JA秋田おばこ救済を目的にしたものだ。11日付け秋田さきがけ新報は、「こまち1万2600円前後か、18年産概算金4年連続上昇」の見出しでこう伝えた。以下、いずれも税込み価格での表示。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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