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新・農業経営者ルポ

Made by Dutch、オランダ人による日本での農業経営は彼らからすればなんら特別なことではない


Simonは、国民性ともいえる合理的な思考を持ったオランダ人だ。その片鱗が垣間見えた瞬間だった。

契約栽培を志向

生産は取引先の要望に応じ、臨機応変に動こうとしている。まだ輪作を1サイクル回すに至っていないが、4、5品目でのローテーションを予定しているという。馬鈴薯やニンジン、パースニップ、ビーツ、それ以外にベビーリーフ、ルッコラ、パクソイ(注:ハクサイのような野菜)、ケールなどの葉物野菜やハーブの名前が挙がった。種子は、ビーツでアメリカのJohnny's Selected Seeds社や葉物野菜でオランダのRIJK ZWAAN社(注:販売代理店は大阪の高田種苗(株))、ケールでイタリアの会社から取り寄せたりしようとしている。
Simonは作ってから売るスタンスではない。これは彼からすれば当然になり、Healthy business(健全なビジネス)を念頭に置いている。
取引先の開拓にあたっては、相手が外国(日本)人といえども物怖じせず、積極的に振る舞っていた。Simonは大学のリサーチ論文を執筆する際、有機野菜弁当をインターナショナルスクールなどの学校に卸している弁当屋に取材したのだが、日本での就農を機に再度コンタクトを取ってそのまま取引相手にしている。また、都内のオーガニックレストランとの取引のいきさつは、「Top 10 Organic restaurant in Tokyo」と検索し、ヒットしたレストランに片っ端から連絡したことによる。日本人の嗜好への理解もおおよそ察しがついている。
「野菜に求められるのはとにかく甘さだね。ドレッシングにもハーブが入っていなくて甘い。酸味があるから甘みを感じるし、甘みがあれば塩味を感じられる。バランスが大切で、口の中でクランチー、サワー、ソルティーがあったほうが楽しいのにね。そういうのをわかっているのは食材を管理している人と毎週話せる規模の小さいレストランのオーナーシェフになるんだけど、自分のメイン顧客はまさにそこじゃないかって考えているんだ。でも、まだまだ他のお客さんを見つけなくちゃいけないね」
取引先や作付品目は営農開始から日が浅いこともあり、流動的な面を残す。しかし、その先に関しては明確なプランを描いていた。
「収穫の90%以上は契約で栽培するのが一番いいよね。販売先が決まっていれば作ることに専念できる。契約時にはルールを決める。価格や出荷時期、量のほか、形が整っていなくてもOKとかね。このあたりはテスト栽培で感覚をつかみ、細かいところまで詰めていくよ。

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