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それだけじゃないよ。契約は守るのが基本。出荷時期や量が満たせない場合は他地域のものを買って送る。でも、日本は自然災害が多いから、それが無理なケースも出てくるよね。そんなときはお客さんにお金を支払わないといけない。自分のための保険も大切だけど、お客さんに支払うための保険も忘れちゃいけないよね」
折しも加入申請の手続きが始まった収入保険に通じるようなことも視野に捉えていた。
ここまでは個人としての活動だが、Simonは“団体戦”の計画も立てていた。2年前の段階で練っていた構想を微調整しながらそのときに向けて準備している。
「ゆくゆくは近隣の生産者とグループを組んで一緒に個人や外食産業に直販したい。メンバーで何度も話し合ってスタンダードを確立するとともに、個々に作付けしている品目の規格を統一して同じブランドとしてね。
でも、いざ日本で営農してみると、栽培方法をそろえるのが難しいことがわかったんだ。それを変更させるのは日本ではなかなか大変そうなので、いまは栽培方法にこだわらず、東松山のものとしてグループでテーマを持って出荷するほうが現実的だと思っているよ」
例として、近隣の生産者と葉物野菜や肉、ハーブなどをパッケージで販売することを示した。Simonは、小さいレストランに対しての出荷はこのようにまとめたほうが適当だと考えている。
GAPを有利販売に使うのは誤り
Simonは有機JAS認定を取得するつもりでいる。その流れでGAPに触れた途端、思うところがあるのか、彼の独壇場になった。
「Door de bomen zie je het bos niet meer(木を見て森を見ず)だね。日本はGAPもいろいろ、栽培方法に関する認証もいろいろだよね。なんかいろんなものがありすぎる。なんで一緒にやらないのかなと思うよ。
GAPはトレーサビリティーの点で、小売にも生産者にもメリットがあるけど、『野菜が安全』と『栽培が安全で、トレーサビリティーがある』というのは別だよね。たとえば、GLOBAL G.A.P.は飲食店で食べた人がお腹を壊した場合、資料があるのですぐにどこで問題があるのかがわかる。オランダのスーパーでもGLOBAL G.A.P.のモデルが入っているけど、野菜が安全という意味じゃなく、雇用者が安全に働けるとかそういう意味合いが強い。生産者はどこに販売したいのかによって認証を取得するか否か決めるべきだよね。大手スーパーに売りたいならこれからは必須になってくると思うけどさ。
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