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特集

農業保険の最新動向~収入保険と民間の損害保険サービス~



【経営ごとの収入に着目した新しい保険制度】

――新しく始まる「収入保険」について、教えてください。
窪山富士男氏(農業経営収入保険室長) 簡単に説明すると、収入保険はすべての農産物を対象に収入に着目して補償するというものです。税のしくみを活用しますので、青色申告を行なっている個人、法人が対象です。2019年1月からスタートしますので、個人の加入申請が10月1日から始まりました。法人の皆さんは、事業年度の開始月に合わせて順次加入申請を済ませていただく形になります。
――窓口はどこになりますか?
窪山 実施主体は全国農業共済組合連合会です。今年4月に各都道府県の農業共済組合が構成員になって立ち上げた組織で、ここが加入する農業者と契約を結ぶ相手方になります。実際に農業者の方と対面して、契約手続きや保険期間中に対応する窓口としていわゆる代理店の機能は、各都道府県の農業共済組合が果たします。
――今回の制度改革のねらいはどこにありますか?
窪山 農業の成長産業化により、日本の農業者の半分くらいは複合経営で、新しい品目を導入したり、自ら販路を開拓して契約をとったり、所得を上げようという取り組みをされています。その実態に合った保険制度が必要になったということです。
――これまでも農業共済事業以外にもコメ・麦・大豆のナラシ対策、野菜の価格安定制度などの制度がありましたが、どう違うのでしょうか?
窪山 それぞれ品目が限定されていたり、事故の発生要因が限定されていたり、販売価格に注目していたり、収量に着目していたりさまざまなんです。それに対して、収入保険は全体的にカバーできるということですね。たとえば、自然災害や鳥獣害の被害で収量が下がった場合は、既存の農作物共済で対応できるのですが、品目がコメと麦、大豆等に限定されています。露地野菜などは対象になっていません。次に市場価格が下がった場合はナラシ対策が発動します。こちらも対象はコメ、麦、大豆、ビート、澱ぷん原料用バレイショに限られます。野菜の価格安定制度も同様ですが、地域平均で収入が下がったときに収入を補てんするので、統計データで下がらなければ、その地域では全員発動しません。現行のいずれの制度でも、個々の事情には対応できません。また、農業共済では作付けの準備がされる以前だと全く補償がありません。さらに、怪我や病気になった場合にも、適期の収穫ができず、品質低下や売り上げが下がるといったケースがあると思いますが、収入保険では補償の対象になります。収入の減少が生じた場合に補償するということになりますので、その要因を限定しないことから、全部をカバーできるわけです。

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