記事閲覧
【農業は先進国型産業になった!】
外国人実習生の現地ルポ 実態と課題と展望 第7回 実習生の新しいモデル誕生か 高賃金・高人材型への転換
- 評論家 叶芳和
- 第19回 2018年11月05日
- この記事をPDFで読む
1 全国有数の養豚産地
千葉県九十九里地方の旭市の農業成長が目覚ましい。全国市町村別ランキング6位(2016年)で、10年前の9位から躍進した。農業産出額は567億円で、養豚が33%を占める。養豚特化係数は5.0と高く、養豚業が盛んなことが特徴である。養豚のほか、野菜も盛んである。
養豚の全国1位は宮崎県都城市であるが、旭市は都城市に並ぶ養豚産地だ(数年中に都城市を追い抜くと見込まれる)。表1に示すように、養豚産出額は都城市205億円、旭市189億円、桐生市147億円である。この後に鹿児島県勢が続く(16年)。千葉県内でも、市町村別にみると、旭市の養豚は2位成田市(98億円)以下を大きく引き離してトップである。
旭市の養豚業が強いのは、茨城県鹿嶋の配合飼料基地に近く(20km圏内)、飼料が安く入手できることに加え(運賃は1000円/t)、飼育技術の高さも要因だ。近年、養豚業界はPRRS病に悩まされており、繁殖率の低下(受胎しない)に見舞われ、生産性が低下している。技術進歩で母豚の能力は向上し、1母豚当たり出荷頭数は年間26頭に達しているが、PRRS病に侵されると、悪い時は16頭に減少する。PRRS病は経済性を著しく低下させる。
PRRS病は20年前頃から見られるが、多頭化が進んだ密集地帯で多く発生している。まだ全容は解明されず、ミステリー病といわれている。その影響で、1母豚当たり出荷頭数は、例えば、鹿児島県の養豚飼養密度の高い地域は約19頭と低く、全国平均は20頭くらいといわれる。旭市は感染度が低く22頭と高い。
会員の方はここからログイン

叶芳和 カノウヨシカズ
評論家
1943年、鹿児島県奄美大島生まれ。一橋大学大学院経済学研究科 博士課程修了。元・財団法人国民経済研究協会理事長。拓殖大学 国際開発学部教授、帝京平成大学現代ライフ学部教授を経て2012年から現職。主な著書は『農業・先進国型産業論』(日本経済新聞社1982年)、『赤い資本主義・中国』(東洋経済新報社1993年)、『走るアジア送れる日本』(日本評論社2003年)など。
ランキング
WHAT'S NEW
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2020/12/17)
