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農業は先進国型産業になった!

外国人実習生の現地ルポ 実態と課題と展望 第7回 実習生の新しいモデル誕生か 高賃金・高人材型への転換



1998年に農場の分散を始めた。規模拡大に際し、繁殖農場と肥育農場のツーサイトに改築、さらに、2007年にPRRS病対策として繁殖と離乳を分離し、スリーサイト方式に変えた(繁殖、離乳、肥育の施設を農場立地ごと分散)。豚は病気が多く、多頭飼育の密集地帯で空気伝染などが多いため、一貫経営のワンサイト農場は事故が多い。PRRS病のリスクを避けるための投資であり、同時に規模拡大した。
「赤字」が設備投資のテコになった。PRRS病対策は農場分散で生き残った。当時は赤字決算だったが、「この病気に克つには投資が必要」と銀行を説得し、実現した(4億円投資)。その成果が出荷頭数の多さ(23頭)になって表れた。投資をあきらめた養豚家も多い。PRRS病に負けたわけだ。(注、研究会グループのトップ農場は25~26頭VS密集地帯の鹿屋市19頭くらいか)1母豚当たり20頭が標準経営であり、固定費や人件費は一定であるから、17頭以下になると経営は成り立たないといわれる。

【グループ化とブランド化】

高木社長が推進しているのは、東庄町のSPF豚の仲間12戸のグループ活動である。「東庄SPF豚研究会」を設立し(1992年、3戸で発足)、飼料の共同購入や豚肉の一元販売を通して地域ブランド「東の匠SPF豚」を商標登録している。
12戸は、少ない人で母豚100頭から1000頭で構成、平均350~360頭、グループ全体では繁殖頭数約5000頭、年間出荷頭数は約10万頭である。この規模集積の効果で、飼料を安く買える。
研究会の会員は、SPF豚を使用し、飼料は指定配合を使っている。10万頭の規模の利益を発揮し、飼料を安く購入し、低コストの肉豚を生産している。2008年から13年頃まで飼料価格は高騰し5万円/tに上昇したが、同グループは4万円で入手できた。2割安だ。
「東の匠SPF豚」はブランド肉になっている。枝肉500円/kgだ。グループ全員が、一律の決めた餌と価格で購入し、種豚は全てAI(人工授精)である。生産した肉は首都圏を中心に、テーブルミートとして売っている。1頭当たり1000円高く売れば、東海ファームの年間出荷2万3000頭では2300万円の付加価値になる。
また、テーブルミートとして「おいしい肉」を目指している。離乳頭数の多さを目的とした多産系の豚ではなく、「おいしい肉」を追求している。離乳頭数は、先に見たように、農場分散などで優位に立っているからだ。

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