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農業は先進国型産業になった!

外国人実習生の現地ルポ 実態と課題と展望 第7回 実習生の新しいモデル誕生か 高賃金・高人材型への転換



【エリート実習生を養成する】

いま、高木社長は新しい構想を持っている。今後は、実習生もよい人材を採用して、ゆくゆくは日本人並みの給与にしたいという。監理団体とタイアップして、「畜産の勉強をしたい」という実習生をセレクトして採用する。
優秀な人材は、理解度が高い。見て細かいところまで気が利く。暑い日はカーテンを開けるのが普通だが、いちいち指示しないとできない人がいる。よい人材を採用すれば、生産性が違う。
優秀な実習生を採り、単純労働ではなくスキル向上の働き方に変え、彼が実習生を管理できるようになったり(マネージャー役)、最終的には農場管理をできるような人材に育てば、賃金は日本人並みの35万~40万円にする。最初の3年の実習の後のプラス2年の時、そのように育てていきたいという。「低賃金・単純労働」ではなく、「高賃金・高度人材」へ、実習生のモデルチェンジである。
実は、このモデルチェンジは監理団体H協同組合が売り込んだようだ。キャリアパスを示すことが優秀な実習生を日本に呼び込むための手段になる。実習生の受け入れ競争で、日本は韓国などに対し前より競争力が低下してきている。日本に実習生が来てくれないと、監理団体も飯の食い上げになる。監理団体にとっても、高賃金・高度人材の受け入れというかたちで、高付加価値路線への転換が始まったといえよう(注、ベトナム人などの場合、まだまだ供給超過で、買い手市場である。今のところ、韓国などとの競争上の意味の方が強いようだ)。

【二重苦の日本からの脱却】

日本は「二重苦」を抱えている。少子化・労働力人口減少による長期的な人手不足と、アジア諸国の経済発展に伴い、日本は相対的に低賃金国になってきたことだ。人手不足対応として、外国人労働者の流入を増やしたいが、受け入れの国際競争力が相対的に低下してきているのだ。
日本がアジアで一番の高所得国であった時の実習生受け入れ条件では、日本は選ばれない国になってきた。「低賃金・単純労働」から、「高賃金・高度人材」へモデルチェンジが必要になってきた。
東海ファームの実験は、年内にも始まる。H協同組合は9月、ベトナムで超エリート実習生を見つけてきたようだ。人選のポイントは二つ、一つは大学の農学部卒で基礎的な知識を持っていること、もう一つは指導者になれるような人格性を持っていることである。
実習生の新しいモデルが出てきた。歴史の萌芽形態になるか。まだ点としての存在だが、国際労働市場で人材獲得競争が激化していけば、やがてこの流れは大きくなるのではないか。この高付加価値路線の方が、日本の競争力を高め、経済成長にも寄与することになろう。

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