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しかし、積極的に機械を更新したものの、その導入効果を得られないと感じるときは、作業体系の更新や労働力とのバランスがとれていないと疑ってみることだ。費用対効果を実感しづらいときは、作業幅から作業時間の縮減時間を試算し、自分の時給や労働する人の時給を考慮したうえで、費用、収量の増減をより具体的に試算し直すことが急務になる。導入効果については、感覚的に語る農業経営者も多い。だが、購入前の試算、あるいは導入後の評価をキチンと計算して根拠を導いておけば、より自分の自信となるし、従業員や家族ともシェアできる。購入を決断できる経営者には経営責任がつきまとうのだから、計画段階でちゃんとしておきたい。昨今の農業機械は家やベンツを買うよりも高額なのだから。
二つ目に押さえておきたいのは、導入する作業機のオペレーションに訓練や教育が必要かどうかである。当然ながら最新鋭の作業機はトラブルが生じると、途端に厄介物となる。複数のオペレーターがいる場合は、オペレーターのスキルを考慮して上手に買うべきであろう。また、オペレーター以外の人員にも、転倒や破損時に身を守るすべを教えておくとよい。機械の停止始動方法などの基本的な操作方法を共有することで、とっさのときに誰かが救ってくれることもある。作業機の機構がより複雑になっており、見落としがちな重要項目だと思う。
購入のコツとしては、オーダーを農繁期に行なうことである。現在の体系で作業をしながら、新たな機械を導入したらどう稼働させるのかをイメージできる時期だからだ。そうすれば実機が届く農閑期に、使い方や保守点検方法を熟知し、操作練習に当てる時間も作れるだろう。販売店や営業マン、整備スタッフに納車時以外に来てもらうと料金が発生する時代である。サブのオペレーター候補や家族、ときには共同戦線を張る友人農家やご近所を交えて、研修会とするのも手であろう。
最後の3つ目のポイントは、消耗品や基幹部品の値段や予備の調達を考慮しておくことである。どこぞの毎月パーツが届くブックのように揃えることが楽しみのものは、初回は安いが、完成に近づく回になると高額になると聞く。のちのち高額の支払をするなら、前もって用意をしておくほうが懸命であろう。
私はロールべーラーを更新するたびに予備のユニバーサルジョイントも交換するようにしている。前回の更新時には20万円ほど高くなり、いま使っているタイプは1本80万円もする。重たくなり、値段は高くなり負担となるが、高額なものであれば、稼働できない間のロスも見過ごせないので、予備は絶対に持っておきたい。そう考えると、作業機本体だけに限らず、それら部品の値段も後の修理費のコストと考え、見通しの良い買い物をしよう。
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齊藤義崇 サイトウヨシタカ
1973年北海道生まれ。栗山町在住。昨年、普及指導員を退職し、実家の農業を2014年から営む。経営は和牛繁殖、施設園芸が主体。普及指導員時代は、主に水稲と農業経営を担当し、農業経営の支援に尽力した。主に農業法人の設立、経営試算ソフト「Hokkaido_Naviシステム」の開発、乾田直播の推進、水田輪作体系の確立などに携わる。
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