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【知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ】
イタリア~ヘンプ復活から産業化への道~
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第11回 2018年11月05日
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ヘンプはイタリア語でCanapa(カナパ)と呼ばれ、古くは17~18世紀から栽培記録が残っている。近隣諸国と同じく、19世紀に盛んだったロープや衣服の繊維原料としての需要は合成繊維に替わり、1961年の麻薬単一条約の締結以降、ヘンプは全く栽培されなくなった。ところが、93年にEU規則を利用して、イギリス、オランダ、ドイツで栽培が再開されると、イタリアでも復活に向けた動きが始まった。
ヘンプ復活をリードしたのは、98年に普及啓発を目的に設立された非営利団体「Assocanapa Srl」である。02年にはイタリア国内で10万ha規模の栽培復活を目指して、自ら事業会社を立ち上げた。いまでは生産した種子を用いて農家と契約栽培を結んで生産に関わるところから、一次加工、商品開発までを手がけ、産業用ヘンプに関わるさまざまな事業会社を傘下に抱えるグループ企業に成長している。
同社の一次加工会社は現在、南部と北部に1社ずつあり、その処理能力は合わせて700ha分に相当する。
なかでも南部で13年に稼働を始めた一次加工場では1日当たり16?t、年間4800tの茎を繊維とオガラ(麻幹)に分離し(写真1)、長さ別に3種類の繊維とオガラ、直径500ミクロンのパウダーを産出する。繊維は住宅用断熱材や衣服の原料に卸すだけでなく、自社商品にハンドメイドの紙製品や職人がデザインしたヘンプシューズ(写真2)などがある。オガラはHemp Eco Systemにより建材に加工されて欧州各地で住宅の外壁等に利用されている。
11年からはオイルや粉、パスタ、塩炒り種子、チョコレートなどのヘンプ食品のインターネット販売に乗り出し(写真3)、マリファナの主成分であるTHCを含まないCBDオイルの年間生産量は約600kgにのぼる。ほかにもヘンプとポリ乳酸混合の樹脂は3Dプリンターに採用されている(写真4、写真5)。
NPO法人からトップ企業へ需要を広げ生産拡大を後押し
ヘンプ復活をリードしたのは、98年に普及啓発を目的に設立された非営利団体「Assocanapa Srl」である。02年にはイタリア国内で10万ha規模の栽培復活を目指して、自ら事業会社を立ち上げた。いまでは生産した種子を用いて農家と契約栽培を結んで生産に関わるところから、一次加工、商品開発までを手がけ、産業用ヘンプに関わるさまざまな事業会社を傘下に抱えるグループ企業に成長している。
同社の一次加工会社は現在、南部と北部に1社ずつあり、その処理能力は合わせて700ha分に相当する。
なかでも南部で13年に稼働を始めた一次加工場では1日当たり16?t、年間4800tの茎を繊維とオガラ(麻幹)に分離し(写真1)、長さ別に3種類の繊維とオガラ、直径500ミクロンのパウダーを産出する。繊維は住宅用断熱材や衣服の原料に卸すだけでなく、自社商品にハンドメイドの紙製品や職人がデザインしたヘンプシューズ(写真2)などがある。オガラはHemp Eco Systemにより建材に加工されて欧州各地で住宅の外壁等に利用されている。
11年からはオイルや粉、パスタ、塩炒り種子、チョコレートなどのヘンプ食品のインターネット販売に乗り出し(写真3)、マリファナの主成分であるTHCを含まないCBDオイルの年間生産量は約600kgにのぼる。ほかにもヘンプとポリ乳酸混合の樹脂は3Dプリンターに採用されている(写真4、写真5)。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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