ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

ソーラーシェアリング 営農と太陽光発電を両立させる農業経営


コシヒカリはもともと90~95 cm程度になるが、日照不足(推測)で、さらにひょろりと背が伸びて倒伏しやすくなってしまった。2年目の昨年は夏の異常気象も重なり、今までに見たことないくらい背が伸びたうえに、秋に襲った台風による大量の雨水がパネルの端から集中的に直下の稲を直撃して、やはり倒伏してしまった。なんとか平均の8割程度は確保できたものの、80歳を超えた父と手作業で刈り取るはめになってしまった。
「これではいけない」
ソーラーパネルは設置しなおすことが難しい。齋藤さんは、品種を変えるという選択をする。鳥取県の牧田稲研究所が開発した短稈の「マキタ女王」という新品種を探し当てて、今年、作付けしてみた。一般的なコシヒカリと同等以上の食味が期待でき、コシヒカリより15 cmほど短く太い稈というのが特徴だ。
「今年の出来はよかったですよ。米屋さんも、マキタ女王の話を聞いて面白いと言って買ってくれました」
農作物は売れないと半ば諦めていた齋藤さんは、稲倒伏の失敗を経て、周囲から認められる農作物をつくろうと覚悟を決めたのである。

【村おこしに繋げるコンニャク栽培に着手】

水田でソーラーシェアリングを進めつつ、コンニャク芋でも挑戦を始めた。この芋に関心を持ったのは、川俣町の生産者6人が立ち上げた「コンニャク川俣」の会の志に感銘を受けたからである。コンニャク川俣は、生産から加工、販売までを地域内で行なうことを目指して16年に設立された。イノシシなどの獣害を受けにくく、コメの刈り入れ時期のあとに収穫時期を迎えるというメリットもある。水はけのよい傾斜地のほうが栽培にも適しているので、かつて桑畑だった遊休地や耕作放棄地を活用することもできる。その話を聞き、齋藤さんはコンニャク芋について調べた。
「コンニャク芋は半日陰でも生育できる作物なので、日陰をつくるソーラーシェアリングに向いているかもしれないと気づきました」
福島県の農業指導普及員にも確認してもらい、ソーラーシェアリングで栽培しても問題ないと分かった。17年、コンニャク川俣の会員になってコンニャク栽培を始めた。植え付けた土地は粘土質のうえ、まだ2年目で土づくりが十分ではなく、さらに今年は暑さが厳しく収量は期待したほどできなかった。
それでも根気よく土づくりを続け、芋を十分肥大させようと取り組んでいるところだ。一大産地の群馬にも視察に行き、雑草対策や消毒の重要性も学んできた。なお、川俣町の日射量をもとに光飽和点(注)で換算したところ、コンニャク芋は遮光率40%程度のほうが栽培環境に適している可能性が高いことが分かった。

関連記事

powered by weblio