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現在は手続き上の事情で、仮生産しているが、来年からは本格的に芋畑でソーラーシェアリングを始める。来年には、ソーラーパネルで遮光したほうがコンニャク芋の生育が良いという仮説が確認できるだろう。
【パネル下で美味しいコメをつくりたい】
「当初、太陽光発電ありきで取り組みましたが、やはり農業をやるなら周りからも評価されるような農業をやりたいという強い思いが生まれてきました」
そのためにまず、いま抱えている課題を解決していく予定だ。植物は、本来よりも少ない日照条件下では一見生育が良いかのように背丈が高くなるものが少なくなく、まさに稲の場合にもこの現象が確認された。また、光飽和点だけで生育環境の良し悪しを判断するのではなく、積算温度など多岐にわたる条件が収量に関係することも考慮する必要があると最近痛感している。
齋藤さんは、マイナスの課題があると、解決しながらプラスに変えようと次々と行動を起こす。11月中旬には、福島県行政に赴いてある依頼をした。まず、現在、ソーラーシェアリングで生産しているコメの品質の調査をしてもらうことと、ソーラーシェアリングでの稲作を安定させるために適した品種を調べてもらうこと。また、中長期的な視点から、ソーラーシェアリングに適した作物や栽培技術などの情報が得られるように協力を仰ぐためである。
「ソーラーシェアリングは遮光率が高くても温暖化の傾向を防止する効果があると思う。我が家のソーラーシェアリング環境と稲の生育過程の相互関係を把握し、より良い栽培管理方法の研究や適合する品種の再選定なども視野に入れて、じっくりと焦らずにこの地に合った栽培技術を確立できれば、必ず誰もが美味しいと思えるコメがつくれると思っています。ソーラーシェアリングにも強くて、自然災害にも強くて、美味しいブランド米をつくれるようになればいいなと」 (取材・文=平井ゆか)
注:植物の光合成において、光の強度が上がると光合成速度が速くなるが、ある強度以上では飽和状態に達し、それ以上速くはならない。その光の強度のこと。ソーラーシェアリングの設備設計において重要視される。
Part4 基本は20年先まで見据えた営農計画
導入手順と留意点
ソーラーシェアリングが有効な農業経営手段のひとつであることは、前ページまでである程度ご理解いただけただろうか。ここからは導入に当たっての手続きやチェックポイントについて解説する。協力者を募り、ネットワークを拡げていくなかで、経営力向上を期待したい。
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