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【ソーラーシェアリングが開く農業の未来】
売電によって農業経営を安定させる。けっして生産性が高いとはいえなかった農地が生み出す新たな利益。たしかにソーラーシェアリングの大きなメリットはそこにある。ただ、それだけに留まらないことも知ってほしい。
たとえば、ソーラー農園を「売り」にしたブランド化や販売展開、人を呼び込むイベント……。事業者の利益だけでなく、ソーラーシェアリングを起爆剤として地域振興に結びつける可能性も開けている。
導入を視野に入れたとき、売電だけではない、ソーラーを活用した事業展開も併せて考えてみてはいかがだろうか。つまり1+1を2より大きくする手立て。ビジョンの実現に向けて、新たなネットワークもつくられていく。その繋がりからフィードバックされる貴重な知識やアイデア……。
歩きはじめなければ何も始まらない。というわけで、まずは導入に当たっての基礎知識から。
ソーラーシェアリングの課題と今後の動向
ソーラーシェアリングが制度化されてから5年あまり経った。いまも営農型発電施設は増えつづけている。ただ、整った制度になっているわけではない。
【もっと使い勝手のいい制度改革が必要】
許可期間の自動更新
まず手続きの面から考えると、農業委員会の農地一時転用許可をとるのに手間がかかる。先例が重視される傾向にあるため、許可実績のない地域では、どうしても難しくなってしまうのだ。
許可期間3年の場合、金融機関が融資するうえで大きなネックとなる。3年後に更新される保証はないに等しい。これでは融資を躊躇してしまう。今年の制度改正で、許可期間は条件つきで10年以内まで延びた。いずれの場合も、期限切れに際しては新規申請と同じような手続きをふむことになる。毎年営農報告をするのだから、問題がなければ期限も自動更新できる制度にすべきではないだろうか。
ソーラーの農業設備化
ソーラーシェアリング施設はハウスのような農業用設備とはまだ見なされていない。ハウスなら、農協も何千万円という融資に応じやすい。ソーラーシェアリングは普及が進んでいる。実績も積み重ねつつある。こうした状況を考慮して、制度上も農業用設備として認められれば、農協だけでなく他の金融機関も融資に前向きになるはずだ。
作物変更をもっと自由に
ソーラーシェアリングで栽培作物を途中で変更したくなることは、許可期間中であっても充分ありうる。市況やマーケットの変化への対応は、農業経営のうえで欠かせない。ところが、この作物変更がけっこう難しいのだ。制度上は認められているが、農業委員会によっては当初の計画どおりの作物が求められるケースが実際にあった。運用面での見直しを望みたい。
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