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特集

ソーラーシェアリング 営農と太陽光発電を両立させる農業経営


ソーラーシェアリング認可数の都道府県別トップは千葉県の204件(18年9月現在)。このうち匝瑳市は25件で、八街(やちまた)市に次ぐ(全国市町村別では第5位)。ソーラーシェアリングの先進地域なのだ。
沿岸部からちょっと内陸に入ると、小高い山林を取り囲むように谷地田が開けている。市内北部に位置する旧豊和(とよわ)村地区。山を切り崩してつくった農地も多い。ここが匝瑳ソーラーシェアリングの舞台だ。

【ゼロをイチに! 匝瑳に灯った希望の光】

豊和地区の痩せた農地では、タバコなどが生産されていた。それも15年ほど前にはほとんどやめられ、耕作放棄地が増えていった。一時は野立てソーラー建設の話がもちあがったこともある。しかし農振区域だったため、農地転用の許可は当然ながら下りなかった。
そんな状況が一気に変わる。そこには人と人との出会いがあった。東光弘さん(現:市民エネルギーちば代表)と、椿茂雄さん(現:匝瑳ソーラーシェアリング代表)。環境問題の集まりが出会いの場だった。
東さんは有機野菜やエコ商品の流通に携わっていた。都内でオーガニックショップGAIAも開いていた。2011年の福島原発事故のときは「こんな理不尽なことがあるか!」。募るばかりの危機感。ソーラーシェアリングの考案者である長島彬さんを訪ねたのはそんなときだった。実証圃場での栽培にも関わり、そして確信する――ネガティブなものなし、広めるに値する。
椿さんは匝瑳代々の農家で、郵便局の仕事にも長年携わった。地域の課題を率先して引き受け、地元でも人望が厚い。
ソーラーシェアリングの適地を探していた東さんにとって、椿さんとの出会いは決定的だった。椿さんはこういった――ぼくもソーラーシェアリングを匝瑳につくりたい、一緒にやろう。
農業を通じて環境問題に取り組んでいるグループは、千葉県内では鴨川、夷隅、神崎などいくつもある。しかし匝瑳には、同じような問題意識でソーラーシェアリングを展開した事例はまだなかった。
「手付かずのところに新しいOSをインストールしたい。何もないところで0を1にする!」(東さん)
こうして地域の人たちとの協議が始まる。畑として開墾してきたのに発電に使うなんて……そんな反対意見もなかったわけではない。しかし、畑をつぶすのではないこと、まずは耕作放棄地から進めること。何より地域の皆が、どうにかしなければと思っていた。自分たちだけでは手立てを探しあぐねていたなかで、ソーラーシェアリングは「希望の光」となっていく。

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