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【農業は先進国型産業になった!】
外国人実習生の現地ルポ 実態と課題と展望 第8回 外国人依存度が大きい漁業基地 日本人から実習生に置換した
- 評論家 叶芳和
- 第20回 2018年11月30日
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1 水揚高ランキング1位 銚子は加工設備が充実
銚子市(人口約6万人)は利根川の河口にあり、関東最東端で、初日の出を一番早く見ることができる。農業も漁業も有名である。銚子漁港は水揚量全国1位である。農業も、春のキャベツやダイコンは全国一の産地である。観光客も年間260万人が訪れる。江戸時代から栄え、知名度も高い。しかし、近年は「消滅可能性都市」のひとつに数えられている。「一次産品」に強いという特徴を生かした、新しいまちづくりはできないであろうか。「銚子ルネサンス」への道はないのであろうか。
表1は、水揚高の漁港別ランキングである。銚子漁港は全国1位、7年連続である。2017年の水揚げ高は28万t、279億円に上る。水揚高1位の背景は、第一に、銚子は漁場が良い。銚子沖合漁場は世界最大規模の暖流「黒潮」と、栄養素に富んだ寒流「親潮」がぶつかり合って、魚のエサになるプランクトンが多く、さらに、利根川から豊富な有機物を含んだ水が流れ込み、魚種も多い。特に青魚、イワシ、サンマ、サバなどの大衆魚が多い。大衆魚主体であるため、金額ランキング1位は焼津港に譲っている(焼津は高級魚マグロの水揚げ全国1位)。
もうひとつの要因は、後背地としての設備が全国ナンバーワンである。1日当たりの凍結能力は川向の波崎港(茨城県神栖市)と合わせて5000tである。銚子に水揚げする船団は30カ統(うち銚子所属は2カ統)であり、1万t水揚げがあるが、2日で処理できる。水産加工場も90社ある。銚子は大規模な流通加工機能を備えた全国屈指の総合漁業基地である。
後背地が整備されているので、北海道から沖縄まで全国からの漁船が入港し、四季を通じて魚が水揚げされている。水産物加工の生産額は671億円、銚子市工業出荷額の41%を占める(13年)。
イワシは缶詰原料、養殖用餌料、生鮮出荷(入梅イワシ)、アジは生鮮出荷、干物加工、サバは生鮮出荷、缶詰、養殖用餌料になる。カツオ・マグロは生鮮出荷、底引き網漁獲物は生鮮出荷である。
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叶芳和 カノウヨシカズ
評論家
1943年、鹿児島県奄美大島生まれ。一橋大学大学院経済学研究科 博士課程修了。元・財団法人国民経済研究協会理事長。拓殖大学 国際開発学部教授、帝京平成大学現代ライフ学部教授を経て2012年から現職。主な著書は『農業・先進国型産業論』(日本経済新聞社1982年)、『赤い資本主義・中国』(東洋経済新報社1993年)、『走るアジア送れる日本』(日本評論社2003年)など。
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