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農業は先進国型産業になった!

外国人実習生の現地ルポ 実態と課題と展望 第8回 外国人依存度が大きい漁業基地 日本人から実習生に置換した



日本人は賃金を上げれば来るかも
「このエリアで、日本人を戦力として探すのは難しい。地元の高校や大学の日本人も就活に来る。リクルート社に一次選考を任せ、二次選考を会社内で行なっているが、能力、モチベーションの点で採用できない。ハードルを下げるか、逆に給料を上げて求人すれば採用できるかもしれない。同じ条件なら、実習生の方が労働意欲が高い」(飯田社長)
飯田社長の哲学は「一定の条件(法規)をクリアしたら、枠を自由化してほしい。あるいは優良企業は枠を2倍にしてはどうか」「日本人も外国人も同じように扱ってほしい。規制ゼロでは日本人があぶれるという反対があるが、能力がないのに守っても仕方がない」。企業経営者の立場から徹底した規制緩和論だ。「違反事件をなくすためにも、規制緩和をしたほうが良い。ブラック企業でも働かざるを得ないのが問題。どこでも働けるようになれば、ブラック企業は無くなる、犯罪も無くなる」「単純労働では賃上げができない。実習期間3年では困難。5~10年延長ならできる」。
(株)大一奈村魚問屋(坂本洋一社長)も従業員の半分は外国人である。従業員数は全国に70人いるが、銚子地区には60人いる。実習生18人、日系人10人(フィリピン人&インドネシア人)、計28人が外国人である。実習生の賃金は、時給は最低賃金で、設備が進んでいるから残業は多くならない。手取りが10万円を切ると文句があるが、12万円あれば文句は無い。3年間の貯蓄目標は250万円。監理団体へ支払う管理費は2万5000円である。「日本人を採用したいが、銀行や漁協に採られ、うちには目を向けてくれないので、外国人を採らざるを得ない」。
賃金とステップアップに関して坂本社長に質問した。「3年で帰国するから、ステップアップは求めない。加工は単純労働なので、3年で十分」「就労期間を延長する新しい在留資格、『特定技能』になれば、本気で考える」。なお、機械化をどこまで進められるかという問題はあるが(加工も凍結もオートメーション化できる)、儲かっていないと投資はできないので、一定の外国人労働者は必要という。

賃金は最低賃金に張りつく傾向
図1は、千葉県の短時間労働者の10円刻み賃金分布の推移である(06年から17年)。磁石に引き寄せられるように、現実の賃金が最低賃金に引き寄せられている(17年の2本目のピークは不規則だが)。最近に至るほど、最頻度の賃金は最低賃金に張り付くような低賃金になっている。最賃レベルの労働者が増えているのである。景気回復、人手不足にもかかわらず、どの都道府県も同じ傾向にある。(注、東京、神奈川はこの傾向がもっと明瞭である)。外国人労働者の急増が、労働市場に影響している可能性を示唆している。

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