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新・農業経営者ルポ

専業農家仲間の未来のために、集落営農をあえて担う

23歳で農業へ「転職」 「10町作ろう」と決意

 祖父の代から続く農地を、父から受け継いだのは確かだ。しかし、それは突然のことだった。

「あるハム会社に就職し、これから社会人として活躍しようという23歳の時、父が病気で倒れて亡くなりました。準備もなく急に農業を受け継ぐことになり、気持ちとしては『転職』でした」 すでに結婚していた松隈さんは夫人とともに会社勤めを辞めて就農。まさに人生の一大転機だ。

 最初の1年は母から農業の手ほどきを受けながら、近所の農家からコメ作り、麦作りを学んだ。2年目からは1人でのチャレンジだ。

「受け継いだ農地は2町8反。自分なりに支出と収入、所得のバランスを計算し『10町は作らないと農家は成り立たない』と採算ラインを設定しました」 農業初心者の夫婦が10haを作っていくには、どうすればいいか? すでにこの頃から「経営」の視点で将来的な規模拡大を見据えていた。1970年代半ばのことだ。

「まずやったのは、どの作業に何時間かかるかをすべて書き出すこと。しんどい作業を減らし、どうやって効率を上げるかを考えました。最もネックになったのは農薬散布の作業をいかに減らすか。すなわち雑草を生やさないということに行きつきます。防除がうまくいけば9割方、省力化は成功」 父を亡くして5年後、母も他界する。28歳にしていや応なしに農家として自立することを強いられた。

「初めは『鎌を持つ姿が似合わない農家』とよく言われましたよ。何しろ基礎をほとんど知りませんから」と笑う松隈さん。父から直接「農業」を受け継がなかったための苦労は大きい。しかし、だからこそ、その後の自由な「経営」が可能になったとも言える。 一人だけ若くして一本立ちした松隈さんも今やベテラン。周辺の元気な専業農家グループを率いる存在となっている。

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