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【特集】
EIMAで日本の畑作農業と水田農業機械化を考える
- 編集部
- 2019年01月07日
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学ぶべきものと疑うべきこと
昆吉則(本誌編集長) 最初に今回のEIMAをご覧になって感じられたことを話していただけませんか。前回、一昨年のEIMAに関しては藤さんが4回にわたって詳しく紹介をしていただいていますが(「イタリア農業機械展《EIMA》の視察日記」2017年1~4月号)、ここでは展示内容にとどまらず「EIMAで日本の畑作農業と水田農業機械化を考える」というテーマで話し合ってみたいと思います。
私が来場者を見て一番に感じたことは、イタリア農業の元気さでした。小さな子供たちを含めた家族連れから若いカップル、課外授業になっているのか中学生か高校生の一群。それも先生に引率されてというより、子供たちが自由にコマを回って楽しんでいる。男の子たちが大手メーカーのキャンペーンガールと一緒に写真を撮ろうと行列を作り、それを一緒に来た女の子たちが「何よアイツら、バッカじゃないの」なんて感じで睨んでいる。本当に地域というよりイタリアという国の農業のお祭りですね。イタリアの逞しく堂々とした農業のあり様が見て取れるように感じました。
EUのなかでは農業経営規模がそれほど大きくないイタリアは、水稲生産を含めて果樹、野菜とさまざまな農業があるという意味合いでは日本人になじみやすい。ただ、EU諸国ではほかにもさらに大規模な農業機械展はありますが、それにしてもすごい規模ですね。
齊藤義崇氏(本誌「実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!」連載中) ドイツのハノーファーで開催される展示会はさらに規模が大きく、出展されている機械も大きいみたいです。前回の「視察日記」にも書いたのですが、それにも増して農業の労働力問題を解決するという方向で機械を作っていると感じました。
昆 北海道の畑作農業というのは、西洋の農法や技術そして道具も持ってきて成立してきました。いまでは府県の水田農業でも北海道で先行した畑作技術体系が使われるようになりました。
齊藤 最初は良かったのですが、昭和の後半に100馬力くらいのトラクターが出てきました。そのころは「凄い!」「どんどん便利になる」と感じていたのですが、今では150、200、300馬力クラスのトラクターが入るようになっています。150馬力くらいならまだしも、それ以上になると土壌踏圧の増大や排水不良が目立つようになります。雨の多い日本でも本当にこれで良いのかという疑問も湧いてきます。
以前から移民や東欧やアフリカなどの外国人労働者の労働力に依存してきたイタリア農業ですが、東欧諸国の経済発展や移民問題の混乱などを受けて、今後もそれに頼れるのかという不安もあります。どうにか機械力でカバーしなければならないところで、作業をオートメーション化しよう、機械のスピードをもっと上げていこうという切迫感があります。ICTの技術価値もわかりますし、それを導入することで可能になることもあるでしょうが、どんどんトラクターや作業機を大型化していくことには疑問を感じます。現実にある問題を考えると悩ましいことですが。
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