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特集

EIMAで日本の畑作農業と水田農業機械化を考える


齊藤 見慣れないものがあるだけで、見たことないという機械はなかったです。
波多野 一人で回っているときにプラウメーカーの人に話を聞いたのですが、一時期ヨーロッパでもプラウを使わない簡易耕(ミニマム・ティレージ)が流行りました。その後はどうなのですかって聞いたら、みんなプラウに戻っているって言うのです。その理由もいろいろ聞いてみたら、言葉がマニアックすぎて通訳さんも全部訳しきれなかったのですが、結局は草の問題ということらしいです。
昆 以前、藤さんに聞いていましたけど、ラウンドアップ耐性を含めて除草剤耐性を持った草の問題が大きくなってきました。それでプラウが見直されたということですか。
齊藤 作物学会などでも報告されていますが、除草剤メーカーすらそれを望んでいます。本当は除草剤を売りたいはずなのに、その開発が間に合わないからです。対策不能になる前に、耕種的防除としてのプラウ耕で密度を減らして欲しいということでしょう。
昆 除草剤メーカーがそういうことを言う時代になったということですね。イタリアあるいはEUは遺伝子組み換えをやっていませんのにね。
齊藤 それにもかかわらずです。
昆 完全にプラウで鋤き込んだとしても、種は生きていますが。
齊藤 種が生きているということは間違いありませんけど、密度は減ります。プラウ耕を含めた輪作をすれば一部の除草剤で済みます。大豆のときはイネ科を殺せばいいですし、イネや麦のときは広葉を殺せばいいということです。昔から言われていることです。行政機関が推奨しようがしまいが、それは合理的に決まっています。それを一時は不耕起もいいとか、楽だとか、技術はここまで進歩したみたいな言い方をされました。
昆 そのミニマム・ティレージとか不耕起だとかいう言葉が日本に輸入されると、それがプラウの否定みたいになってしまう。
齊藤 そうですね。
昆 今回、私は展示会場のあるボローニャから鈍行の電車で1時間半くらいかかるベローナという町に泊まって会場に通ったのですが、その車窓から見た景色で、いかにも水田だな、水田を畑にしているなと思える畑がたくさんありました。あの辺りは水の便が良いらしく、明渠というより大きな水路が作ってあり、田畑の転換が自由にできてしまいます。日本で田畑輪換というと、集団化すれば割り増しがあって、補助金というか水田転作の交付金をもらう手段として輪作をするという発想になってしまいます。イタリアではまさに水田と畑の雑草の種類が変わることで草を減らすという本来の意味合いの田畑輪換をやっているのでしょう。水田しかできないところは水田をやっているのでしょうが。

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