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山口市産子実トウモロコシ地産地消への挑戦

畜産農家のニーズ把握



ロットの確保と需要家ニーズへの対応

実際に山口市産子実トウモロコシを使ってみてどうだったのか。自家の乳牛に給餌した池田牧場の池田氏は、高く評価する。
「昨年度は、一日1頭当たり、11~12kgの配合飼料に対し、山口市産の子実トウモロコシを2kg程度混ぜて、2カ月のあいだ特定の乳牛に与えた。輸入トウモロコシに比べ、牛の嗜好性が高く、乳量も増えたように感じた。現時点では、山口市産の子実トウモロコシの収穫量自体が少ないため、もっと長期間使い続けられる量を仕入れたい」(表1)
また、今年度から使用を開始する秋川牧園の秋川氏は、山口市産トウモロコシの今後について、こう期待する。
「将来的には、畜産系の商品の一部を、完全オーガニックで生産したいと考えている。その際に、海外からオーガニックの子実トウモロコシを少量輸入しようとすると、コストが高くなってしまう。そのため、地元で子実トウモロコシを有機栽培(無農薬栽培)してもらえるのなら、ぜひ利用したい。まずは市内に養鶏場のある平飼い卵用に特化していきたい」
たとえば、秋川牧園の平飼い鶏3000羽分のトウモロコシをすべて賄おうとすると、1羽当たり年間38kg必要とのことなので、合計114t必要になる。10a当たり0.5t子実トウモロコシが収穫できるとして試算した場合、必要作付面積は約22.8haとなる。
杵崎の里の野島氏が肉牛農家として山口市産子実トウモロコシに求める需要は明確だ。
「牛に給与する場合、嗜好性の面ではサイレージ化した子実トウモロコシがありがたい。その場合、牛の消化機能の関係で、一度圧ぺんしたあとサイレージ化したものが好ましいが、圧ぺんのための機械導入が必要となる。また、特に牛は飼料による影響が大きいため、商品の品質安定のためには子実トウモロコシの増産と、安定供給の仕組みづくりが求められる。自家子実トウモロコシの利用により、今後のブランド化等が明確になってきたため、飼育数も増やしていきたい」
以上のことから、畜産農家が期待する、山口市産子実トウモロコシの最大のメリットとしては、飼料生産者の顔が見えることからの安心感がまず挙げられる。その上で、個々の畜産農家のニーズに応えていくことで、畜産物並びに加工品の品質や商品単価を高めていくための展望が開ける。
また、課題としては、現時点の子実トウモロコシ生産量では畜産農家の必要最低ロットを確保できないことが挙げられた。

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