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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

費用対効果と投資対効果(1)言葉の意味と捉え方

経営改善の指標はコスト低減から費用対効果に

農業経営者に仲間入りして以来、時間の使い方が大きく変化している。インプットする時間はもちろん大事だが、現場で実務にスピーディーに展開できるのは殊更おもしろい。
本業の農業生産に加えて、興味深い誘いをいただいたり、相談事を持ちかけられたり、忙しさに拍車がかかる一方である。そんな私自身への戒めも込めて、今年の連載テーマは会計講座の原点に立ち戻り、簿記や会計の基本的な知識に照らした経営判断に役立つ情報を整理したい。 ずばりメインテーマは「費用対効果」である。かけた費用に対してどのくらい効果があるかを指す言葉だ。私が費用対効果を強く意識するようになったのは、農業経営者として実践するようになってからである。普及員時代には、コスト意識、いわゆる低コスト化が一番の農業経営のテーマで、財務諸表の分析や診断の目的、改善事項にも真っ先に挙げていた。ところが時代は変わり、費用を減らすだけでは経営が上向かなくなった。まず、どの業種でも労務管理が求められるようになり、人件費が相対的に上がっている。これは、原材料やサービス自体の価格を上げ、経営費を押し上げる要因となっている。どんなに値切るのが上手な経営者でも限界がある。であれば、お金をかけた分かそれ以上に収益を増やし、利益を伸ばさなくては、投資する意味を見出せない。一方で、機械等への投資が“働き方改革”に終始し、経営費を押し上げている。平たく言えば、仕事が楽になっただけで利益も収益も変わらない場合も多いのだ。

投資サイクルとの関係性

費用対効果はどの費用に着目して効果を推し量るかによって、数値化する期間は異なる。たとえば農業生産に関わる費用なら、作付けごとや会計期間(1年間)で区切るのがわかりやすい。一方、宣伝広告費などは、広告掲載期間に対する利益増や周知度合の評価をするのが妥当であろう。しかし、農業の場合は投資をしても、回収までに時間を要するものも少なくない。土づくりで変化を実感できるまでには少なくとも十数年の時が必要だろう。また、新品の機械や家畜・樹木等には耐用年数が設けられている。品目にもよるが、単年度で評価できるのはごく限られたものと考えたほうが自然である。つまり、投資回収サイクルによって効果の表れ方が違うのだ。

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