ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

費用対効果と投資対効果(1)言葉の意味と捉え方


費用対効果に似た言葉には、会計年度をまたいで少し長い目線で判断する場合に用いる「投資対効果」または「投資効果」という言葉がある。本連載では、短期的視点で評価する費用対効果と、数値で評価するのが難しい感覚的な効果をも含む投資対効果の両方について考えてみようと目論んでいる。
もちろん経営者は将来を見据えて投資を行なうわけだが、実際にはその評価を冷静に行なえているかどうかにも注目するべきである。その買い物が正解だった場合は良いが、微妙だったり大失敗だったりした場合ほど、次に活かせる材料を拾えると思うのだが、その実践は難しい。私は長らく北海道での乾田直播の普及をライフワークにしているが、機械費用や諸材料費を減らすように呼びかけても、なかなか実行に移せる農家は少ない。失敗を買って出る経営者が稀有な存在であることが伝わってくる場面である。たまたま勇気ある“乾直人(乾田直播の挑戦者)”が集まってくれたおかげで、技術革新にかかる時間を短縮できたが、一般的には失敗に蓋をしたくなるのは人間の性分だ。“斉藤犠牲者の会”が結成され、蓋をしたい失敗事例をシェアできたのが彼らの挑戦を支えていたようである。

効果の評価指標は増収・増益だけじゃない

実際に、どのような場面で費用対効果が高いと実感するのか。次号からは、農業経営に関わる費用科目ごとに事例を交えて述べようと思う。参考までに、農業法人協会の『農業の会計に関する指針』をもとに費用科目を整理してみた(表1)。
このなかでも一番シンプルでわかりやすい事例は、肥料や農薬の変更だろう。新しい資材を試してみても、使い慣れた資材からはなかなか切り替えられないものである。利益や収益に結びつく有効性を探り、多少割高でも増収したり品質が上がったりといった効果を実感できれば、導入に踏み切る判断材料になる。また、トラクターや作業機を更新によって生み出される費用対効果は、収益や利益のほかに人件費など連動する項目も考慮して考えたい。
費用対効果あるいは投資対効果は導入後にハッキリと見えてくるが、重要なのは検討中の検証作業や試算である。短期的な増収・増益だけが評価指標ではない。ここでは、実感できる指標を4つ挙げよう。

(1)コスト低減と収益増/利益増
まず、費用対効果はコストが下がることと、収益が上がることの両面で捉えるべきである。前述の肥料で考えると、安い銘柄に変更して収量や売上高が変わらなければコスト低減の費用対効果を、割高な銘柄を選択して農産物の品質や価値が上がれば増益の費用対効果を得られる。単純に費用と収益、利益の算出は足し算と引き算で求められるが、面積や投下資本、投下労働時間などで割った相対値で比較するのが望ましい。材料費などの製造原価に関わる項目でも販売促進費や労務費などの固定費でも、基本となる指標である。

関連記事

powered by weblio