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地域商社が展開する中規模流通戦略
【地域の魅力を体感できるテーマパーク】
先日、宇都宮にある道の駅「ろまんちっく村」を視察しました。運営会社は、(株)ファーマーズフォレスト。自社を「地域商社」と位置づけ、栃木・宇都宮の魅力を、全国、そして世界に発信しています。
地域商社とは、「地域のさまざまな課題を解決し、地域を活性化するための仕組みづくりをする」会社のことです。地域と人びと、地域と地域を結ぶだけでなく、その地域で働く人・暮らす人・つくる人・使う人を結び、生態系をつくる役割を担っています。
ろまんちっく村は、栃木の農作物の物流における起点とも言えます。その機能や役割は多様で、さまざまな顔を持ちます。年間に146万人ものお客さんが訪れ、取引する地元農家の数は300軒に及び、施設内の直売所には2,000種類もの農作物が並ぶ、国内屈指の道の駅です。
誕生したのは、今から約10年前の2008年。敷地内には、直売所だけでなく、レストランや醸造所、温泉、宿泊施設、温室植物園、クラインガルテンなど、さまざまな施設があります。来場者は、「野菜を買う」という行為だけではなく、地元の魅力を体感するテーマパークような「楽しさ」を求めています。
ファーマーズフォレスト社は、ろまんちっく村の運営以外にも、地域商社として、持続可能な地域活性化に必要な「入口」と「出口」、主に「出口」の戦略を事業化することで、地域の重要な役割を担っています。アンテナショップの運営だけでなく地域の資産である農作物を「中規模流通」に乗せて、東京など近隣の消費地に展開しています。中規模流通の核となる倉庫兼プラットフォームという裏の顔もあるのです。
【系統でも直売でもない新たな流通】
中規模流通とは、農協や地方市場を活用した大規模流通(系統販売)でもなく、生産者が直接野菜を販売する直接販売でもない、独自の流通網で地域同士をつなぐ農作物流通の新たな形態です。
農業経営における「入口」である「生産」に関しては、国を中心にさまざまな支援がされていますが、ファーマーズフォレスト社によって直売所&中規模流通という「出口」が整備されたことによって、ろまんちっく村に登録する農家は飛躍的に売上が伸びたといいます。
これは単純に「販路拡大」というマーケティングの観点だけで起きた農業経営の変化ではありません。大事なのは、「消費者との精神的な距離が近づいた」という点にあります。
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矢萩大輔 ヤハギダイスケ
(有)人事・労務
代表取締役
大手ゼネコン勤務後、1995年に社会保険労務士として都内最年少で開業。起業支援ポータルサイト「ドリームゲート」アドバイザーとして新規就農にも相談に乗っている。農業を通したリーダーシップ研修の場として自社農園「アルパカファーム」を運営。八戸農業ビジネスナイトセミナーや、FM東京「あぐりずむ」の出演プロデュースなども。著書『脱家族経営!若者に魅力ある農業経営のレシピを教えます。』ほか。
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