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「1回大ショートしたことがあるんだよね。自然枯凋であるがゆえに大雨で最後に軟腐病が入っちゃって、商品化率が落ちちゃったんだ。北海道で選別しているときはなんともなくても、東京に行ったら腐っていて、このときの終盤のは全部でん粉原料用に落としたね。共済のお世話になったよ」
さすがに当該スーパーマーケットもハードルが高いと感じたのか、翌年から慣行栽培で自然枯凋(注:茎葉処理は挟まないが、生育後期まで防除で対応)という方向で合意した。以来、葉面散布などを駆使することで自然枯凋を促す栽培方法を確立し、消費者からも満足が得られているという。
どんなにこだわっても商品にならないようでは互いにメリットはない。このチャレンジには少々の心残りがありつつも、現実の経営を見据える選択をしたのだった。
新技術の導入で問題を改善し、プラスアルファで省力化を図る
現在、石原は馬鈴薯を35.4haに作付けしている。内訳は、生食用で男爵薯が12ha、キタアカリが1ha、昨年は試験でホッカイコガネを少々、加工用でトヨシロを14ha、スノーデンを3.5ha、ホッカイコガネを3.7ha、でん粉原料用でコナフブキを1.2haといった具合だ。約130haの経営面積で、秋小麦が43ha、春小麦が17ha、てん菜が24.5ha、小豆が6.8haになり、馬鈴薯はおおむね4年に一度、輪作に組み込まれている。これならば過作でもないが、過去を振り返ればでん粉原料用馬鈴薯さえ作っておけばなんとかなるだろうという時代があった。その積み重ねで黒あざ病という馬鈴薯の土壌病害に悩まされていた。黒あざ病に侵されると、奇形や小型の塊茎を生じるほか、新塊茎の表面には不整形で黒あざ状に盛り上がった菌核が形成される。食味にしても外観からしても商品に値しないものだ。そんなとき、石原はこの黒あざ病をテーマにしたインファロー技術研究会と題したセミナーが開かれるという情報を聞きつけ、201 5年開催の第3回から参加するようになった。そして、第4回、第5回とパネルディスカッションのパネリストの一人として自身の活動を発表している。
「自慢じゃないけど、インファローには日本で一番取り組んでいるんじゃないかな。でん粉原料用以外はすべてだからね。ポテトハーベスターの製品タンクに満載された塊茎を大型コンテナに移すのに普通は片側の枕地で済ませるけど、最もひどい畑では往復する前にくずタンクが一杯になっちゃったことがあるからね。それでインファローを試したら間違いなく効いているのがわかった」
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石原新太郎 イシハラシンタロウ
代表取締役
(有)石原農場
1957年、北海道女満別町(現・大空町)生まれ。高校卒業後、就農。26歳で経営者になる。2001年、(有)石原農場を設立し、代表取締役に就く。現在の経営面積は約130haで、秋小麦を43ha、春小麦を17ha、馬鈴薯を35.4ha、てん菜を24.5ha、小豆を6.8haと作付けする。身内以外の従業員はおらず、石原の弟、子息2人、妻の計5人で構成している。年商1億5,000万円(2017年)。
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