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スマート・テロワール通信

地産地消の推進に必要なのは先進モデルと選択しやすい仕組み

2018年11月27日に山形県鶴岡市内で開催された「庄内スマート・テロワール」豊穣感謝祭で、スマート・テロワールの概念のひとつに掲げられている「地産地消」をどう推進するかということが議論された。
講演者として招かれた長野大学環境ツーリズム学部教授の古田睦美氏は、約15年前から地産地消の研究をしてきた人物で、現在、長野県の地産地消の運動や、スマート・テロワール論を取り入れた地域食料自給圏実証実験事業に協力している。
古田氏は講演で、長野の先進的事例と消費実態調査の結果を示しながら、地産地消(地消地産)を推進するためには何が必要か見解を述べた。

モデルをつくって一歩ずつ進める

古田氏は、長野の地産地消の先進的事例として、上田市にあるNPO法人「食と農のまちづくりネットワーク」の活動を紹介した。
16年ほど前に長野県の要請で地産地消の推進計画の座長に就任した際、古田氏が感じたことがある。地産地消を否定する人はいないが、さまざまな関係者が集まると進めるのは難しいということだ。そうこうしているうちに食料自給率は下がっていく。
「会議室で話し合っているよりも、実際にモデルをつくって一歩ずつでも進めたほうがよい」
そこで生まれたのがNPO法人「食と農のまちづくりネットワーク」である。主な活動は、地域で農業を支えるファーマーズマーケットやイベント開催、地域食材を活用した商品開発、食農教育活動、コミュニティレストラン「コラボ食堂」の運営などである。「コラボ食堂」は、農家や料理好きの人が登録し、日替わりでオリジナルのランチを調理して提供するという仕組みで、たとえばキノコの生産者がキノコ料理を、コンニャク芋の生産者がコンニャクの料理を提供している。現在、約60の生産者や飲食業者、住民らが登録しており、生産者ならではの料理や、郷土料理、旬の食材を伝える食育の場という新たなコミュニティになっている。

住民が地元産を選択しやすい仕組みが必要

古田氏は、長野県の「地消地産アドバイザー」を務める松尾雅彦氏と出会った際、「実証的根拠を持って取り組もう」という共通認識を持ったという。

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