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実証的根拠のひとつとして、古田氏は2017年から19年にかけて、長野における地元産に対する消費実態と意識の調査を実施した。目的は、耕畜連携や消費者の意識改革をどうやって進めていくかという手法を探るためだ。講演では主に大豆について報告された。
スーパー5軒の店頭で実施した消費者意識調査では、買い物で重視するのは「新鮮・美味しい」が最も多い39%であった。しかし地元産選択の意向を聞いた問いでは、地元産を選択するが66%あり、希望が持てるという(複数回答)。
「調査の結果、「地元産という表記があると良いだろう。また、地元の経済がどれだけ潤うのか、農業がどれだけ守れるのか、はっきり目に見えれば賛同を得られるのではないか」という。
上田市では豆腐と味噌の両方に使用できるナカセンナリという品種が生産量の9割を占めている。倉庫や選粒が課題であったが、18年10月、JAの選粒センターが稼働し始めたことにより、量は少ないながらも地域産大豆を提供する生産側の体制は整ってきた。
一方、加工、消費の側の課題として、輸入原料との価格差や豆腐店の後継者不足がある。
「地産地消は誰もが『賛成』というが、流通の協力が得られにくい。地元産優先ではなく、よい商品を提供したいというポリシーを持っている小売業もある。地域の流通、地域の住民が地元産を選択してくれる仕組みをつくる必要がある。そのために、プラットフォームをつくり、異業種同士が本気で話し合える場が必要だ」
古田氏は今後、住民が思い描く30年後の食事や生活の風景を基に、その風景を実現するための数値目標と経済効果を明らかにしたいと考えている。 (平井ゆか)
中田康雄の気づき
【EPAおよびTPPによって日本農業は致命的な打撃を受ける】
2月1日に日EUのEPAが発効される。TPPやEPAは穀物由来の食品や畜産品の関税をゼロに向かわせることで日本農業の存立そのものを危機に立たせることになるだろう。
日本農業の欠陥はコメ(水田)中心の農業である。いまや消費者の求める食品はコメではなく、小麦、油脂、畜肉、乳製品由来の食品が中心だ。しかし需要する穀物や畜産品はほとんどが輸入に依存している。カロリーベースの食料自給率が38%にしか過ぎないことがこれをよく物語っている。
【相互の連携で成り立つ穀物生産と畜産を壊す】
日本の消費者の需要に応えるとするなら日本農業の中心をコメから畑作穀物生産と畜産に移し替えることが求められる。
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