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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

費用対効果と投資対効果(2)材料費(種苗・肥料・農薬等)編

高品質のモノづくりでは材料費を無闇に削れない

昨年から町内のPTA会長の役を仰せつかり、教育委員会から結構な頻度で会合に呼ばれ、意見を求められる日々を過ごしている。先日の話題は学校給食で、いかに安全に、安定的に配膳し続けるかについて議論した。
その準備段階でいろいろ調べてみると、現場サイドの苦労が見えてきた。例えば、安定的に食材を切らすことなく供給するには、地元食材は使いにくい。また、給食費が高くなると保護者からの不満が増えるから、高価な材料は購入できない。実に相反する要望が挙がっている様子がうかがえる。
そこで、給食に従事する職員とも、日本の食料自給率等も含めた意見交換をしたところ、栄養バランスが整った安全な給食が毎日提供されることが最も安心につながるという。現場サイドが安全性を第一に考えるのは当然のことなのだろう。食品衛生の観点から、給食センターの職員は生牡蠣などを食べられないし、運営者は健康に気を配っていても体調不良に陥れば、調理に従事できないと判断され、欠員を速やかに補充しなければならない。こうした詳細かつ厳密な運営ルールに則って、学校給食の安全性が担保されているのだ。
学校給食に限らず、物質的に豊かになった昨今の日本では、生きるための大切な糧がなくなるという危機感は薄い。食べ物はもはや腹を満たすだけでなくなり、安全性以外にも美味しさ、形状、包装形態に至るまで高品質が求められている。エネルギー源の穀類も例外でなく、過去50年間で飛躍的においしさが追求され、嗜好品と思えるほど、数多くの品種が栽培され、選べる状況にある。
50年前には1人当たり年間およそ2俵(120kg)のコメを食べていた我われ日本人だが、家計調査によると、日本の一般家庭におけるパンの年間消費額は2011年に初めてコメを上回った。コメ離れの理由は、炊飯に手間がかかるなどさまざまだが、パンをはじめとする加工食品を買える経済状況になったことと、それらの加工技術の進化による低価格化が貢献しているのだろう。

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