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土門「辛」聞

フランス食文化紀行―伝説の料理人がフードコートに甦った


「原産地統制呼称制度」(AOC)の扱い以前は、キンメリジャン土壌を含む畑のみAOCの認証対象となっていたが、いまはプチ・シャブリにも対象が拡がった。これで思い出すのは、灘の酒をめぐる地理的呼称制度(GI)の認証の舞台裏のことである。
灘の酒とは、兵庫県の「灘五郷」で生産される日本酒のことを指す。灘五郷とは、神戸市灘区と東灘区に西宮市の阪神間5地域のことである。昔から灘の酒は、「宮水」と呼ぶ地下水を酒造りに使っていた。ところが灘五郷24社のなかには、その宮水を採水できない酒造メーカーが数社あった。国税庁の粋なはからいで宮水を使わなくても認証の対象としたのだ。18年12月のことだった。
GIやAOCのような認証の線引き問題は、洋の東西を問わずとてもデリケートなものがあるらしい。
帰り際、フランソワがこんな相談をしてきた。
「日本のインポーターから、ワイン醸造を頼まれ、19年春には北海道に行くことになった。北海道でいいワインができるのか」
国産ワインはブームである。まさかシャブリのドメーヌからそんな頼まれ事があるとは想像すらできなかった。
「冷涼で雨も少ない北海道は日本国内でもっとも醸造用ブドウを栽培できる地域だ。雨よけの対策とキンメリジャンのような貝化石が見つかる土壌を選べば白ワインならそこそこの品質のものができると思うよ」
フランソワの報告が待ち遠しい。

中央市場跡地をフードコートに

ノヴァーラからフランスへは、標高4810mのモンブランを右手に見るトリノからフランスのシャンベリーへ抜ける高速道路を使った。どうしてもパリとマルセーユに次ぐ大都市のリヨン(49万人)に立ち寄ってみたかったのだ。
お目当てはポールボキューズ市場だ。リヨン市民の胃袋を満たしたかつての中央市場。いまは「美食の町」リヨンに相応しいフードコートだ。屋内飲食店街のことである。ポールボキューズとは、リヨンが生んだ伝説の料理人。06年、フードコートに造り替えて、その業績を称えるため、あえて名前を冠したのである。
二転三転した旧築地市場の豊洲市場への移転問題。古今東西、物流手段やスピードの変化によって市場は移転していくものである。もともと市場のスペースは公共の場所である。そのスペースを時代の要請につれて再利用していくのは、為政者の大きな務めである。
例えば、パリ。12世紀以来、パリ市民に親しまれてきたレアールと呼んだ中央市場は、1969年、パリ郊外のオルリー空港近くランジスに移転した。その跡地は、大型ショッピングモール「フォーラム・レアール」に生まれ変わった。

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