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人生・農業リセット再出発

匂いマーケティング


シンガポール航空のCAはスリットの入った細身のボディラインがくっきりしたシルクの制服で機内を華やかに動き回っているが、ブランディング戦略は視覚以上に“匂いマーケティング”なのだ。オシボリ、機内やCAも統一された匂いにしてある。独自に開発した蘭の香水“Stefan Floridian Waters”が、顧客の嗅覚に訴えて「素敵な匂い=素敵な雰囲気の航空会社」と連想するように、個性的なトレードマークとして快適で高級イメージを擦り込む。
嗅覚が犬より凄いのが鮭。魚の2つの鼻孔の片方から水が入って、片方から出る時に匂いを判別する。生まれた川の匂いを記憶した稚魚は春に海へと泳ぎ、1500kmの旅を4年もして、匂いをたどって戻って来るという。嗅覚は視覚以上に繊細で、匂いは体験記憶に感情を織り込む。香りは過去の体験を鮮明に思い出させる。匂いは思考を経ずに記憶や感情に直結するから、もっと企業ブランディングや個性発揮でも使うべきだろう。
ある実験。同じナイキのスニーカー二足を別々の部屋で消費者に評価させる。片方の部屋は花の芳香で満たされ、もうひとつの部屋は無臭にしてあった。結果は84%の被験者が香りのする部屋のスニーカーが格段に優れていると評価した。ロンドンのシャツ名門店では、天日干しの「リネンの香り」を店内に漂わせて、心地良さを深める効果で成功している。ナイトクラブで、オレンジやペッパーミント、海の香りを漂わせたら、客が踊る時間が長くなって売上げ増大になった。良い香りのする店は、楽しい時間を過ごせて音楽もより美しく聞こえたと感想が多かった。カジノで良い香りを漂わせると、スロットマシーンに入れる金額が45%も増えた。同じシャンプーなのに中身に微量の香りを加えただけで、機能性は変わらないはずなのに、泡立ちが良い・すすぎやすい・髪の艶が良くなった、などの反応に変わった。お茶を炒っている香ばしい匂い、挽き立てコーヒーの匂いが漂うスターバックス、鰻の蒲焼、新車の匂いなど……ひょっとしたら人工的な香りを機械で発生させているのかも知れない。本能的な行動に訴えるアロマ・マーケティングのテクニックを、あなたも取り入れてみたら、意外な効果があるかも知れない。

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