ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第2回 甲州ワインの価値を高めワイン産地勝沼を守る 勝沼醸造株式会社(山梨県甲州市)


有賀氏は勝沼の風土に向かい世界に通ずる高品質なワイン造りに挑戦してきた。世界を舞台にしたとき「日本」といえるものは何かを考え、取り組んできた。
そのため、輸入原料から脱すべく、90年から自社農園でカベルネソーヴィニヨンなど欧州系ワイン専用品種の垣根栽培に着手した。

日本固有種「甲州」に自信

一方で、日本固有種「甲州」を用いたワイン造りにも情熱を傾けてきた。ブドウの品種は1万種もある。その産地にどれが適合するかを考えたとき、世界に通用する品種は欧州系であるとはいえ、日本の風土に合わない。「人と自然の関わりによる表現がワインである」との考えから、日本古来からの品種である「甲州」にたどり着く。幸いに、ブドウ発祥の地は中央アジアコーカサス地方であるが(欧州系品種の元)、甲州はその血を引いている(DNA解析により判明)。
2003年、甲州種ワインはフランス醸造技術者協会主催のワインコンテストで銀賞に輝いた(2300種出品のうち)。翌年も連続で銀賞受賞。これで、「甲州」でも、世界のワインと比肩することができるという自信がついた。
甲州は日本にしかなく、日本のテロワール(土壌、気候など風土がもたらすワインの特徴)を活かしやすい品種である。甲州で世界と勝負することに決めた。カベルネソーヴィニヨンやシャルドネなど国際品種でのワイン造りも方向性の一つであるが、「日本」の個性を出すため、甲州を選択した。甲州は日本の食文化にマッチすることも要因だった。甲州は酸味が強い辛口であり、寿司や刺身など和食に合う。こうしたことで、「甲州」への特化を決めた。

君のワインのプライシングは間違っている

04年、「アルガブランカ」(「有賀の白」の意味)というブランドを立ち上げた。「変な甲州」にプライドを持っているのだ。
07年、仏ボルドーのシャトー・パプ・クレマン社と提携し、日本のワインとして初めてEU諸国に輸出した。フランスのシャトーが勝沼醸造のワインを売ってくれている。「驚きや感動に国境や人種はない」という訳だ。
有賀氏がボルドーの晩餐会に招待されたとき、シャトー・パプ・クレマン社のマグレ社長は「君のワインのプライシング(価格付け)は間違っている。僕なら君の3倍の価格で売ってみせる」といったそうだ。当時、「イセハラ」の価格は2600円(750ミリリットル)であった。マグレ社長に示唆を受け、価格はコストの積み上げではないと考え、その後、「イセハラ」は5500円に改定した(14年)。マグレ社長の言う通りに従うなら1万円であるが、結局、そこまで上げる勇気はなかった。

関連記事

powered by weblio